SONY ゲーム&ネットワークサービス分野 決算 2022年度 第1四半期決算

アナライズ

ソニーグループのゲーム&ネットワークサービス分野の2022年度 第1四半期決算まとめ。

PS Plus/ハード/ソフト

PS Plus会員数 PS5販売台数 ソフト PS4※2013年~
2020年4-6月 4,500万人 9,140万本
SIE: 18.7%
2020年7-9月 4,590万人 8,180万本
SIE: 12.8%
2020年10-12月 4,740万人 450万台 10,420万本
SIE: 19.0%
450万台
2021年1-3月 4,760万人 330万台
(780万台)
6,140万本
SIE: 7.9%
300万台
(750万台)
2021年4-6月 4,630万人 230万台
(1,010万台)
6,360万本
SIE: 10.5%
270万台
(1,020万台)
2021年7-9月 4,720万人 330万台
(1,340万台)
7,640万本
SIE: 7.6%
330万台
(1,350万台)
2021年10-12月 4,800万人 390万台
(1,730万台)
9,270万本
SIE: 11.3%
640万台
(1,990万台)
2022年1-3月 4,740万人 200万台
(1,930万台)
7,050万本
SIE: 14.5%
240万台
(2,230万台)
2022年4-6月 4,730万人 240万台
(2,170万台)
4,710万本
SIE: 6.4%
300万台
(2,530万台)
2022年7-9月 400万台
(2,930万台)
2022年10-12月 840万台
(3,770万台)
2023年1-3月 230万台
(4,000万台)
PS Plusが2期連続で減少

前任者の時は右肩上がりだったPS Plus会員数がジム・ライアン体制になって初めて減少してから、ほぼ横這い状態が続いています。2期連続での減少は初。
2021年4-6月に初めての減少となり、この時はハード移行の難しさを感じていましたが、そこから上昇傾向になってからの2期連続での減少は痛い。ジム・ライアン体制により地盤が揺らいだ影響を感じる。特に日本人の解約は多かったんじゃないかと想像する。

6月にはPlayStation Plus Essentia/Extra/Premiumが新サービスとして展開されましたが、会員数減少という残念な結果になりました。私はこのサービスに対しては酷評気味で、魅力を感じにくいという感想でしたから納得の結果ではあります。
とは言え、客単価は上がったんじゃないかなと思う。PS Nowに加入していなかった人でExtra/Premiumにアップグレードした人は多いんじゃないでしょうか。

PlayStation Plus Premiumはサービスとしての満足度は低い。クラシックゲームを頑張ってほしかったけど、もう期待もできない酷い有様でした。今後もダメでしょう。
でも『Stray』のようなやり方は上手い。『ロケットリーグ』や『フォールガイズ』はPS Plusフリープレイで注目を浴びて、有料販売のPC版も大ヒットしました。『Stray』はフリープレイではなくPlayStation Plus Extraですが、同じパターンでの大ヒットと言えるかと思う。旧作を集めるより、こういう的確にツボを押さえる方が良いです。7月のゲームの話題の中心だったと言っても過言ではない『Stray』、見事でした。

ちなみにXbox Game Passも最近はパッとしません。旧作のやるもんやってから放置状態。

私はゲームのサブスクに否定的でしたから、この状況にも納得。やっぱりサブスクには無理がある。
100円キャンペーンを粘り強く続けて、MSが自社タイトルをデイワンで無理するしかない状況。先のMSの決算ではGame Passの会員数は発表されませんでした。
ゲームマニアにはわからないサブスクの魅力のなさ | PS5非公式サイト

サブスクによる追加のダメージとして、セールで売れなくなるんじゃないかというのも感じる。私自身、セールはチェックすらしなくなった。
新作に対する興味は変わらない。これはそもそも3ヶ月もしないうちにセールがあり、1年もすれば大幅に安くなるのをわかってたうえで新作を定価で購入していたわけですからね。
新作は待てなかった。セールになるまで待てたゲームなら、サブスクまで待てる可能性が高くなると思う。

出荷に苦戦しているPS5

PS5の出荷台数は240万台、昨年同時期が230万台です。
2021年度は全世界で1,150万台の出荷で、2022年度は1,800万台を見込んでいますから、昨年度とほぼ同じではダメです。今のところ1,200万台ペース。

「年末商戦に向けた供給スケジュールの前倒しを進めていきます」と言っておりますが、過去には「PS5を手に入れたいと思う全ての人にクリスマス前後には届けられるようにしたい」とか「PS5の製造をより急ピッチで進めています。2021年はさらに多くのPS5をファンの皆様にお届けしたいと考えています」とかいう発言で注目されて増産を期待させて結局ダメだったという経緯もあり、真に受けるのも難しくはなっている。しかも、第1四半期+7月の4ヶ月間まで見て、まったく増産の兆しが見えないですから、残り8ヶ月で急激な増産というのも信じにくい状況であり、昨年度に引き続き下方修正濃厚だと思わざるを得ない。

しかしながらマイナーチェンジモデルのCFI-1200シリーズが控えているのは確実でしょうし、生産体制の変化もあるのでしょう。CFI-1200シリーズが出ても伸びなかったなら下方修正コースでしょうけど、CFI-1200シリーズで出荷が大幅に伸びる可能性はあると思います。3度目の正直か4度目の正直かわからないけど、今度こそは…。
「年末商戦に向けた供給スケジュールの前倒しを進めていきます」とも言っており、そろそろCFI-1200シリーズの登場で流れが変わるのかもしれない。

営業利益/売上高

PS5世代 営業利益/売上高 PS4世代 営業利益/売上高
2020年10-12月 802億円/8,832億円 2013年10-12月 180億円/4,418億円
2021年1-3月 330億円/6,603億円 2014年1-3月 △105億円/2,639億円
2021年4-6月 833億円/6,158億円 2014年4-6月 43億円/2,575億円
2021年7-9月 827億円/6,454億円 2014年7-9月 218億円/3,095億円
2021年10-12月 929億円/8,133億円 2014年10-12月 276億円/5,315億円
2022年1-3月 873億円/6,653億円 2015年1-3月 △56億円/2,894億円
2022年4-6月 528億円/6,041億円 2015年4-6月 195億円/2,886億円
2022年7-9月 2015年7-9月 239億円/3,607億円

営業利益と売上高は昨年同時期よりもダウン。

ゲームプレイ時間の合計が昨年同期比で15%減少という結果もあり、これに対して「主要市場におけるCOVID-19感染の減少により、ユーザーが外出する機会が増えたため」と言っていますが、Steamは伸びてるらしいから的外れでもある。

昨年の4-6月は『Returnal』『バイオハザード ヴィレッジ』『ファイナルファンタジーVII リメイクインターグレード』『ラチェット&クランク: パラレル・トラブル』『スカーレット ネクサス』らがリリースされましたが、今年はこれらに並ぶようなタイトルは1本もなかったです。新作の盛り上がりの影響の大きさを考えれば、プレイ時間が減って当たり前。
けん引するソフトが出なかった事が問題ならソフトが出れば解決する話ですから、今後は問題ないでしょう。
ゲーム業界の問題として、全体でのソフト発売のスケジュールが効率が悪いというのがある。年度末に渋滞して、その後はスカスカ。遊びきりのゲームなんて売上も話題も最初の3週も過ぎれば急激に治まる。2022年で言えばエルデンリングが話題の中心にあり、同時期のそれ以外は埋もれた。
ロンチで埋もれたゲームはセール待ちになりやすいですが、今後はサブスク待ちまであるでしょうから、ロンチでしっかり売る戦略が求められるかなと思います。そうなると競合の具合は死活問題。
具体的な例では、8月4週に『セインツロウ』『ソウル ハッカーズ2』『ディスコ・エリジウム ザ・ファイナルカット』『地球防衛軍6』がリリースされます。これらが4~7月にバラけてリリースされていたら私は間違いなく全部購入したでしょうけど、同時期にリリースされると遊ぶ時間がないですから、とりあえず『地球防衛軍6』しか買わない。ゲームを積むんじゃなくて1本ずつ集中してプレイする人ならば、こういう選択は過去に何度も経験しているかと思う。
『Horizon Forbidden West』も『エルデンリング』の話題が治まった6月だったなら、もっと注目されたでしょうね。まぁこれは『エルデンリング』が遅れて来たので仕方なかったですけど。でも数十億円をかけたゲームが発売スケジュールのせいで埋もれてダメージを受ける問題がはっきり見えるところではある。ただ、各社小回りの利かない長期計画でもあり、どうしようもない問題でもあります。話題作との衝突事故は「運が悪かった」としか言えないのが現実。

私もPCゲームが主軸になっていて、6-7月はプレイステーション離れの月になりました。今はプレイステーションに冷めちゃってはいるものの、執着が弱くなったことでジム・ライアン体制にもどかしさも感じることもない。結果的に良い時期になりました。
8月下旬からはソフトリリースも増えますし、9月はPLAYSTATION SHOWCASEがあるでしょうし、それに加えてPS5の増産が成功すれば、またプレイステーションが熱くなるかもしれない。特に『地球防衛軍6』はPCではリリースされませんから、PS5の注目タイトルです。

ライブサービスゲームの形

6,041億円の売上の中でゲームソフトは1,175億円、ハードは1,346億円、アドオンコンテンツは1,848億円。そりゃSIEも10タイトル以上のライブサービスゲームをやりたがるわなという話。遊びきりのソフトを売るビジネスでは厳しい。

とは言え、かなりのギャンブルだと思う。『フォートナイト』『原神』『FF14』などいろいろな形があるけど、SIEは買収した『Destiny 2』と炎上した『グランツーリスモ7』くらいしかPS5で長期的に運営する大規模なゲームはないんじゃないかなと思う。1年区切りなら『MLB The Show』もあります。

新たなライブサービスゲームで成功するのは簡単じゃない。スマホアプリのようにレッドオーシャン状態の中で成功をつかむ難しさがある。ライブサービスゲームへの移行で、SIEの遊びきりのシングルプレイゲームが好きだった人が離れる懸念もある。そこを上手くやれるかどうか。
遊びきりのシングルプレイゲームからライブサービスゲームへの移行となると、『アサシン クリード』なんかはそういう感じと言えるかもしれない。最初は少額課金で大炎上しました。でも今や『アサシン クリード ヴァルハラ』はシリーズ最高の利益とのこと。UBIの中では史上2位であり、1位は『レインボーシックス シージ』だと予想されている。

『アサシン クリード ヴァルハラ』は大ボリュームのシングルプレイゲームという形もありながら、ライブサービスゲームとしての形もある。
ライブサービスゲームにはいろんな形がありますが、私はSIEは『アサシン クリード ヴァルハラ』のようなやり方もあると思う。急に『フォートナイト』『原神』『FF14』みたいなものを生み出して成功するのは難しすぎる。SIEが得意とするAAA級のシングルプレイゲームをベースに長期運営をミックスさせたほうが、成功率は高そう。もちろん最初は『アサシン クリード ユニティ』~『アサシン クリード オリジンズ』みたいに課金による反発はあるでしょうけど、その先に『アサシン クリード ヴァルハラ』のような成功も見える。

私は『アサシン クリード ヴァルハラ』のような運営は大賛成。課金がシングルプレイゲームとしての面白さを削いだところは一切感じないし、無印の時点で大ボリュームなうえに大型アップデートや有料DLCがバンバン投入される。継続的な収益があるからこその力の入りようだと感じる。上手に金を集めて、ユーザーに素晴らしいコンテンツとして還元されている。問答無用に課金を否定していた時代がマヌケに見えるほど。
『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』『Horizon Forbidden West』は良ゲーでしたけど、話題になったのはわずかな期間だけ。継続的な収益がなければ無料アップデートも盛り上がりに欠ける程度のものしかできない。こういうタイトルが上手にライブサービスゲームとしての形を取り入れて長期的に遊べるようになれば嬉しい。
逆に『グランツーリスモ7』のような失敗は勘弁してほしい。重要度の高いアイテムを有料販売し、ゲーム内での報酬をアップデートで減らして車を入手しにくくして課金に誘導するようなやり方。

「10タイトル以上のライブサービスゲーム」がどういう形になるかわかりませんが、それをやる事は自体は決まっている。つまり既に「やめて!」という選択はない。私は『フォートナイト』『原神』『FF14』『Destiny』のようなゲームはプレイしませんから、『アサシン クリード ヴァルハラ』のようなAAA級のシングルプレイゲームをベースにしたライブサービスゲームになると良いなぁというところ。

ちなみに『アサシン クリード ヴァルハラ』は、ボリュームとか豪華さは凄いですけど、ゲームとしてはそんなに面白くはなかったです。AAA級らしさはあるけど75点のUBIのオープンワールドゲームって感じで単調な作業感があった。おまけにPS5版が〇決定なのは最悪でした。
でもAAA級のシングルプレイゲーム+ライブサービスゲームの形としてはお手本になる存在。ユニティで導入されたヘリックスクレジット、オリジンで炎上したガチャ。そういう反発を経て、今のこの形なら遊びきりよりもライブサービスゲームのほうが良いコンテンツを長期的に楽しませてくれるじゃん!と思える。
課金自体は悪じゃない。その取り入れ方と還元の仕方が大事。SIEが上手くやれるかどうかに注目。

9月に開催される可能性があるPLAYSTATION SHOWCASEでライブサービスゲームに関しても何か見えるかな?

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