『Golden Joystick Awards』から2022年の5大GOTYが開幕

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11月23日(水)5時頃の『Golden Joystick Awards』から2022年のGOTYが話題になってくる。

GOTYとは

GOTYとはGame of the Yearの略。その年の優れたゲームソフトを選考し表彰する賞。

メディアや業界団体が主催するGOTYは500以上あります。
映画で「アカデミー賞獲得!」と言えば、アメリカのアカデミー賞の作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞をあたりをイメージするでしょうけど、「GOTY」は特定のイベントをイメージしにくい。

まだまだ誤解している人が多い印象で、「GOTYはポリコレ汚染されてる」「GOTYは出来レースだ」みたいなことを言う人がいたりしますけど、ここ3年でも『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』『Hades』『It Takes Two』『Inscryption』『Outer Wilds』らポリコレで騒がれておらず大金を投じたAAA級でもないタイトルが5大GOTYの3年15枠のうち9枠で選出されている。この中でメディアや業界団体に影響力がありそうなのは『It Takes Two』のEAだけですし、「GOTYが」と一括りにして、ポリコレ的評価でGOTYだとか大手企業がメディアや業界団体に圧力かけての出来レースだとかいう陰謀論的な憶測は説得力に欠ける。

メディアが選ぶもの、開発者が選ぶもの、ユーザー投票を重視するものなどいろいろあります。5大GOTYだけで見ても、ここ3年は選出が割れている。
「GOTYと言えばThe Game Awardsに決まってるだろ!」という前提で言ってる場合もあるかもしれませんが、GOTYと言えばThe Game Awardsだと決まっていませんし、誤解が広がるだけなのでよくないでしょう。

あくまで500以上あるGOTYを一括りにできないという話であり、各GOTYで選出された作品に対して陰謀論を語りたくなる気持ちは私も多々あります。
とは言え、納得できなくても普通かと思う。まずジャンルや規模の違うゲームの中から年間最高を選出するのは無理がある。メディアや開発者が選出する場合、ノミネート作品の会社・開発者との個人的な繋がりも影響されるでしょうし、ユーザーとは立ち位置が違う。日本人は好みの違いも大きく、世界2000万本の『ゴッド・オブ・ウォー』があまり売れない国ですから、外国人が選出するGOTYとは好みのズレがあっても普通。『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』のようなゲームに対する芸術性への評価の違いも大きいんじゃないかな。

各GOTYは気に入らなきゃ無視できる存在ですし、年末の人気番組である『M-1グランプリ』など本来は競技ではないものにおける賞レースの存在は賛否両論ではありますが、ユーザーとしては美味しいところを上手に食べるのが良いかと思う。
個人的にはGOTY受賞作品やノミネート作品に興味を持ってゲームをプレイするきっかけになる。『Hades』『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』が話題になっていたのは知っていたけど、プレイしたのは5大GOTYに選出されたのがきっかけでした。2022年も5大GOTYのノミネート作品の中から何本かプレイすると思う。
自分の好きなゲームが受賞するのは嬉しい気持ちもあるし、素晴らしいゲームを開発した開発者が受賞して喜んでいるのも嬉しい気持ちになるし拍手を送りたくなる。

5大GOTY

GOTYは500以上あり、その中で有名なものは5つ。

  • Golden Joystick Awards 11月頃
    アーケードアワードに続き、2番目に歴史のある英国のゲーム表彰式典。
    GOTYはユーザー投票を受け付けている。
    2022年で40年目。
  • The Game Awards 12月頃
    Spike Video Game Awardsの後継、世界最大級のゲーム表彰式典。
    メディアおよびインフルエンサー(合計100団体以上)の投票が90%を占め、ユーザー投票は10%の影響力でGOTYを決める。
  • Game Developers Conference 2~3月頃
    ゲーム開発者(Developers)を中心とした会議。500人のゲームクリエイターによる投票でGOTYを決める。
  • D.I.C.E. Awards 2~4月頃
    ゲーム業界におけるプロフェッショナルで結成されているAIAS(Academy of Interactive Arts & Sciences )が開催。
    開発者(Developers)だけでなく出版社(Publishers)も含む。
  • British Academy Games Awards 4月頃
    英国アカデミー賞(BAFTA)のゲーム部門。

「3大GOTY」「4大GOTY」「5大GOTY」という区切りは聞いたことがありますが「6大GOTY」は聞いたことがないですから、客観的に見て有名で権威があると言えるGOTYは「5大GOTY」まで。

↓5大GOTYの過去のGOTY

GJA TGA GDC D.I.C.E. BAGA
1983 Jetpac
1984 Knight Lore
1985 Way of the Exploding Fist
1986 Gauntlet
1987 アウトラン
1988 Thunder Blade
1989 The Untouchables
1990 ロックマン
1991 ソニック・ザ・ヘッジホッグ
1992 ストリートファイターII
1993
1994 スーパーマリオコレクション
1995
1996 スーパーマリオ64
1997 ゴールデンアイ 007
1998 ゼルダの伝説 時のオカリナ
1999 The Sims
2000 The Sims  ディアブロII
2001 グランド・セフト・オートIII Halo: Combat Evolved
2002 グランド・セフト・オートIII メトロイドプライム Battlefield 1942
2003 グランド・セフト・オート・バイスシティ Madden NFL 2004 Star Wars: Knights of the Old Republic Call of Duty Call of Duty
2004 Doom 3 グランド・セフト・オート・サンアンドレアス Half-Life 2 Half-Life 2 Half-Life 2
2005 グランド・セフト・オート・サンアンドレアス バイオハザード4 ワンダと巨象 ゴッド・オブ・ウォー
2006 TES IV: Oblivion TES IV: Oblivion Gears of War Gears of War ゴーストリコン アドバンスウォーファイター
2007 Gears of War バイオショック Portal Call of Duty 4: Modern Warfare バイオショック
2008 Call of Duty 4: Modern Warfare グランド・セフト・オートIV Fallout 3 リトルビッグプラネット スーパーマリオギャラクシー
2009 Fallout 3 アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団 アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団 アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団 Batman: Arkham Asylum
2010 マスエフェクト 2 レッド・デッド・リデンプション レッド・デッド・リデンプション マスエフェクト 2 マスエフェクト 2
2011 Portal 2 TES V: Skyrim TES V: Skyrim TES V: Skyrim Portal 2
2012 TES V: Skyrim The Walking Dead: The Game 風ノ旅ビト 風ノ旅ビト Dishonored
2013 グランド・セフト・オートV グランド・セフト・オートV The Last of Us The Last of Us The Last of Us
2014 DARK SOULS II ドラゴンエイジ:インクイジション シャドウ・オブ・モルドール ドラゴンエイジ:インクイジション Destiny
2015 ウィッチャー3 ワイルドハント ウィッチャー3 ワイルドハント ウィッチャー3 ワイルドハント Fallout 4 Fallout 4
2016 DARK SOULS III オーバーウォッチ オーバーウォッチ オーバーウォッチ アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝
2017 ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと
2018 フォートナイト ゴッド・オブ・ウォー ゴッド・オブ・ウォー ゴッド・オブ・ウォー ゴッド・オブ・ウォー
2019 バイオハザード RE:2 SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜 Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜 Outer Wilds
2020 The Last of Us Part II The Last of Us Part II Hades Hades Hades
2021 バイオハザード ヴィレッジ It Takes Two Inscryption It Takes Two リターナル
2022

※TGA欄の2013年以前はSpike Video Game Awardsです。
※2000年以前はPCと家庭用ゲーム機で分かれているGOTYもありますが、その場合は家庭用ゲーム機のタイトルを表記しています。

5大GOTY制覇は存在しない

5大GOTYを制覇したゲームは存在しません。『The Elder Scrolls V: Skyrim』『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『ゴッド・オブ・ウォー』が4大GOTYを獲得しています。

5大GOTY制覇は夢の記録として残り続ける。

近年は小・中規模のまとまりあるゲームが受賞

2018年まではAAA級と言えるような大作や誰もが知るような有名作の受賞が多いですが、2019年以降は小・中規模のまとまりあるゲームの受賞が目立ちます。

結果的に選考の転機となった2019年、『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』が5大GOTYで2冠は意外でした。
この年のGOTY獲得数は、

    1. デス・ストランディング – 80
    2. バイオハザード RE2 – 79
    3. SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE – 59
    4. Control – 29
    5. Disco Elysium – 15
    6. The Outer Worlds – 10
    7. Outer Wilds – 9
    8. STAR WARS ジェダイ:フォールン・オーダー – 9
    9. ファイアーエムブレム 風花雪月 – 8
    10. デビル メイ クライ 5 – 6
    11. Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜 – 5

日本勢がトップ3を独占した年であり、トップ10の半分が日本勢。でも5大GOTYは『バイオハザード RE2』『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』が1つずつ。
『Disco Elysium』『Outer Wilds』ならまだしも、メタスコア80点で5大GOTY以外のGOTY獲得数は3であり、業界団体の評価は高くなかった『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』が2大GOTYで選出されたのは意外でした。個人や少人数が高く評価するのはわかるけど、かなりの規模の2大GOTYで多数の支持が集まるとは完全に予想外。Twitterやブログでも事前に予想していた人は1人も見たことなかった。結果を見てから理由づけはできますけどね。

GOTY獲得数1位で5大GOTY獲得なしの『デス・ストランディング』は物議を醸し、このゲームに出演していたジェフ・キーリーが忖度でTGAのGOTYに選出するのではないかと疑われた。ジェフ・キーリーは自分は選出に関わっていないと否定し、結果は『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』でした。
『デス・ストランディング』のノミネートを受けて、癒着関係による不正の可能性を指摘されたThe Game Awards主催者が反論 – AUTOMATON

なんにせよ予想外の結果だった2019年。振り返ると5大GOTYの空気が変わった年に見える。5大GOTYというか、Golden Joystick AwardsとThe Game Awards以外ですかね。

2022年のノミネート作品

Golden Joystick AwardsとThe Game Awardsは開催日時とノミネート作品が出ています。
Golden Joystick Awardsはユーザー投票重視、The Game Awardsはメディアおよびインフルエンサー(合計100団体以上)の投票重視という個性がある。The Game Awardsも10%はユーザー投票の結果を反映するようです。メディアおよびインフルエンサーが90%でユーザーが10%という具合。
ざっくり言えばGolden Joystick Awardsはユーザー人気、The Game Awardsはメディア人気と言えるかと思う。
The Game Awardsはゲームの新発表や新映像の公開もあるので、他のゲーム表彰式典よりも圧倒的に注目度が高い。このやり方は上手いですね。

Golden Joystick Awards 11月23日(水)5時頃

  • エルデンリング PS5:96点
  • ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク PS5:94点
  • Neon White PC:90点
  • ゼノブレイド3 SWI:89点
  • Horizon Forbidden West PS5:88点
  • Immortality PC:88点
  • グランツーリスモ7 PS5:87点
  • ベヨネッタ3 SWI:86点
  • マリオ+ラビッツ ギャラクシーバトル SWI:86点
  • Return to Monkey Island PS5:86点
  • Teardown PC:80点
  • コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2 PS5:77点

The Game Awards 12月9日(金)9時30分

  • エルデンリング PS5:96点
  • ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク PS5:94点
  • ゼノブレイド3 SWI:89点
  • Horizon Forbidden West PS5:88点
  • Stray PS5:83点
  • A Plague Tale: Requiem PS5:82点

※点数はメタスコア

小・中規模の作品が選出される傾向が2022年も続くかどうかは注目点でもありますが、2022年は『エルデンリング』『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』が評価的には突き抜けていますから順当に選出されそうな気がします。もちろん同じように思っていた2019年のような波乱も考えられますが。

個人的なGOTYは『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』ですが、5大GOTYでは『エルデンリング』が強いかなと思う。
『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』は前作からストーリーが地続きでベース部分に大きな変更はない強化版。プレイヤー的には面白いゲームの強化版と続きのストーリーは嬉しいですが、賞レースでは選出されにくいと思う。一強ならまだしも、評価が同等で方向性の違うゲーム同士の比較では不利に働くかと思う。

『エルデンリング』が不利な面もあり、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』や『ダークソウル3』も5大GOTYは1つのみ。高評価だった『ブラッドボーン』は5大GOTYは未獲得。高難易度が売りのゲームは大規模な投票制では不利かもしれない。
新規IPで新しい挑戦にも成功しているとはいえ、フロム・ソフトウェアのアクションゲームのスタイルを新鮮に感じにくいところもある。

上記理由で選出されないことには懸念もあり、定番だからという理由で選出されなくなるとユーザーから見てパッとしないゲームが選ばれることになっていくと思うし、その傾向は既に見えている気がしないでもない。『Fall Guys』『ロケットリーグ』のように新鮮さのあるスタイルでユーザーにも大ヒットした作品ならいいですけど、新しいことをやってるけどユーザーの反応はさほどでもない作品が選ばれるようになっていくと、温度差は広がってユーザーの多くが冷めた目で見るようになってくるはず。ユーザーが冷めた目で見るゲーム賞は寂しいです。
Golden Joystick Awardsだけはユーザーの投票が重視されているようですから、ユーザーに人気のあるゲームが選出され続けるはず。

そんなこんなで2022年の5大GOTYも気になっちゃいますね。
とりあえず個人的な予想はGolden Joystick AwardsもThe Game Awardsも『エルデンリング』。自分でプレイして納得ですし、メディア評価でも最高点のド本命。

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