VR体験でストーリーが沁みた『Another Fisheman’s Tale』概要と感想

レビュー・感想

2023年5月12日にリリースされた『Another Fisheman’s Tale』(3,520円)の概要と感想。

Another Fisherman's Tale – Launch Trailer | PS5 & PS VR2 Games

『Another Fisheman’s Tale』とは?

2019年にPSVRでリリースされていたVRパズルアドベンチャーゲーム『A FISHERMAN’S TALE』の続編です。
ちなみにこの前作『A FISHERMAN’S TALE』のPSVR2版もリリース予定です。時期は未定ですが。

本作の特徴は主人公が体をバラバラにしてパズルを解くシステム。
頭を飛ばすと違った視点で見られますし、自分を客観的にも見られます。
手を飛ばして遠くの物をつかんだり操作したり、手をハサミやフックに交換して切ったりフック移動できます。
これらを駆使してパズルを解きながら進む。

操作方法

左スティックで移動。
右スティック↑でワープ移動。
右スティック←→でカメラ。
※デフォルト設定

L2orR2で手を飛ばす。長押しで飛ばした手を歩かせる。
L1+R1で手を戻す。つかむ。
+で頭を飛ばす・戻す。

良かったところ

ミニチュア模型で繋ぐ世界

ストーリーは回想として語られます。
現代パートの物置部屋にミニチュア模型があり、主人公の娘であるニーナがミニチュア模型を見ながらパパの昔話を回想する。

ミニチュア模型でのイベントムービーがあり、

回想の世界に入る。

この現代と回想との繋ぎ方がVRならではの面白い感覚になっています。
ややローポリなグラフィックもミニチュア模型で作られた世界での回想だと考えると違和感を覚えにくいです。
このゲーム世界はとても好きになれました。

冒険

リベルタリアという伝説的な場所を目指す冒険物語です。
島、海中、船、潜水艦など多彩なロケーションで映画的な冒険VR体験ができます。
潜水艦と船は独自の操作であり、低価格ゲームのわりに凝った作りです。

パズルの難易度バランスが良い

パズル難易度は易しめに感じました。かと言って単純作業的になるほど簡単でもなく、自分で気付いて解ける気持ち良さが感じられました。
「考えて」というより「気付いて」「探して」なんです。キーアイテムを探すというのがパズルの軸になっていますから、探し方を間違えると行き詰まる可能性はあります。穴や隙間に頭や手を投げるのは意識する必要があります。
パズル難易度は★2か2.5という印象です。

VRゲームとしてはこれぐらいの難易度で良いかと思います。VRヘッドセットを被っていると攻略情報がチェックしにくいですから、難しすぎていちいち詰むと辛いです。
ストーリーもあるゲームですから、易しめのパズルでテンポ良く進行した方がストーリー体験としても良いです。

欲を言えば、もう少し考えて解くパズルがあっても良いかと思いました。

心に沁みるストーリー

クリア後の余韻が良いゲームというのは満足度が高いものです。
このゲームはストーリーの良さがわかるのが終盤になってからなのですが、儚くも充足感があるストーリーでした。心に刺さり、忘れられないゲームの1本になりました。

自分がVR世界でキャラクターの視点になりますから、自分自身の体験として心に沁みやすかったのもあります。良い映画を見終わった時の感覚を超えるのがVR体験。

気になったところ

リプレイ性が低い

1周するのに3時間~3時間30分くらい。1周でトロフィーがコンプリートできますし、収集要素もありません。
戦闘はありませんし、難易度変更もありません。パズルゲームの2周目は作業感が強くなりますからリプレイ性は極めて低いです。

「気になったところ」に書いていますが、パズル&ストーリーを1周体験して終わりなのは個人的には悪くないです。収集要素とか取って付けたような要素は不要ですから、パズル&ストーリーだけに集中させるゲームデザインはセンスが良いと思います。
8,690円のゲームならボリュームは求められますけど、3,520円のゲームですから余計な物をつけない方が良いです。

操作の癖がある

飛ばした手をL2orR2長押しで歩かせる時の方向転換操作に癖があります。時間制限はないからモタモタしても問題ないのですが、あまり気持ち良くない操作です。

日本語音声が欲しかった

大前提として「日本語字幕があるだけで有難すぎる」です。日本でそんなに売れるとは思えませんし。
プレイ中の字幕も読みやすくて好印象です。

とは言え、ストーリーの魅力も強いゲームですし、VRゲーム世界のリアリティを考えると空間に字幕を表示したくない気持ちはあります。

現実問題、ソフトが売れない地域で声優のギャラを支払って音声対応するのは難しいでしょう。声の演技ができる翻訳AIの開発も進んでいるようですし、将来的には音声もAIで全世界対応になる日が来るかもしれませんね。

まとめ

  • グラフィック:★★★☆☆
    グラフィックの印象はとても良いですし、ローポリながらクッキリシャープです。とは言えMeta Questマルチの携帯機クオリティではあり、★4とまでは言えないです。
  • ストーリー:★★★★
    ストーリーの意味がわかるのが終盤ですから、中盤までは普通の冒険物語です。でもクリア後の余韻が良かったですし、心に沁みて満足度が高い。親と子供と人生、VRならではの体験のさせ方でもあり、素晴らしかった。
  • 酔い度:★★★★
    自由移動であちこち見渡しますから、それなりに酔いやすいかと思います。激しいアクションはないですけどね。
  • 総合:★★★★
    この価格でこのジャンルとしては★5と言っても良いですけど、グラフィックやパズルの完成度の部分で満点とは言えないですね。
    でも良いゲームであり、良いVR体験でした。PSVR2のゲームはストーリーが沁みるゲームは少ないですから、このゲームの存在感が出ますね。PSVR2にストーリー重視のゲームは少ないけど、VRはストーリーをプレイヤーに沁み込ませやすいのも実感できました。
    ミニチュア模型も使い方や、ストーリーの見せ方が素晴らしく、センス抜群のゲームでした。

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