2022年6月14日、『バイオハザード7 レジデント イービル』『バイオハザード RE:2』『バイオハザード RE:3』がPS5版へのアップグレードに対応しました。
アダプティブトリガー&ハプティックフィードバック
『バイオハザード』3作品のアップグレードで、一番わかりやすい違いはアダプティブトリガー&ハプティックフィードバックへの対応です。
元々PS5の『バイオハザード ヴィレッジ』と統一感がある銃撃になっています。銃をL2で構えた時の重みが銃によって違いますし、R2も本物の銃のトリガーのような2ステージトリガーになっている。触感によってゲーム内のキャラクターとプレイヤーのシンクロ率を高めますし、体感ゲームの楽しさもあります。
重厚感のあるショットガンやロケットランチャーで吹っ飛ばす気持ち良さが増したし、軽いハンドガンの威力のなさの説得力も出る。
eSportsの場合は本物のトリガーよりもゲームとして押しやすいボタンが効率良いですから不向きですけどね。
高速ロード
ロードがめちゃくちゃ速くなりました。もうTIPSなしで暗転で切り替わるようにしてほしい。PS5発売前に言っていた「ロード画面がいらなくなる」を実現していると思います。
『バイオハザード RE:2』でタイムを測定している方によると、
- PS5 3.57秒 : PS4 14.09秒
- PS5 3.58秒 : PS4 17.42秒
- PS5 3.55秒 : PS4 13.06秒
- PS5 3.40秒 : PS4 18.60秒
- PS5 3.38秒 : PS4 20.40秒
PS4版はPS5の後方互換機能で動かしているので、PS4版もPS5のSSDを使ってこの結果。PS4+HDDだったら、もっと大差になります。
ElAnalistaDeBitsの検証では現行機のロード時間が比較されている。どの機種も高速ですがPS5が一番速い。
ただ『バイオハザード』シリーズは頻繁なロード待ちがあるわけではありませんし、そもそもPS4版のロードも遅くはありませんでしたから、そこまで高速ロードの有難味を感じるわけではないです。
高速ロードの恩恵を感じやすいのは、ファストトラベルを多用するゲーム、死にゲーでリトライのロード待ちがあるゲーム、スポーツゲームなど試合の度にロード待ちがあるゲーム。
3Dオーディオに対応
『バイオハザード ヴィレッジ』で素晴らしい3Dオーディオを体験させてくれました。これが過去作にも適用されるのは素晴らしい。
例えば曲がり角の先の階段の上にいるゾンビの音が、3Dオーディオだと「上」だとわかるけど、そうでないと同じ高さに聞こえる…と思う。
階段で背中側から迫って来るゾンビの音のリアリティも違う…気がする。
曖昧なのは、ゾンビの出現場所を知っているうえに3Dオーディオだという思い込み効果もあるかもしれないから。
なんにせよ3Dオーディオの良さは単に敵の位置がわかるという話じゃなくて、音で空間の存在感を表現できており、目を閉じればその世界にいるような感覚になれるところ。そしてこれがバイオハザードの「そこを歩く、という恐怖。」を高めている。
×決定への統一
『バイオハザード7 レジデント イービル』『バイオハザード RE:2』のPS4版は〇決定でした。PS5に慣れた今、もう〇決定のゲームはプレイしたくないのが正直なところ。PS5版は×決定に統一されてプレイしやすくなりました。
これらの『バイオハザード』シリーズは北米版も日本語に対応していて規制もないですから、北米版を購入した人も多いかと思う。その場合はPS4版でも×決定なのでボタン変更は関係ないですね。
『バイオハザード』シリーズは日本版の規制で批判される事も多いですが、北米版に日本語を入れないメーカーも多い中、北米版に日本語を入れて選択肢を増やしてくれているのはユーザーにとっては有難いところかと思う。
フレームレート
公式サイトによると、レイトレーシングOFFでの出力解像度と想定フレームレートは4K HDR/60fpsとのことです。
レイトレーシングONの場合は4K HDR/30fpsとのことですが、VRR対応モニターでプレイしてみると50~60fpsの表示でした。
PS5版にはハイフレームレートモードがあり、測定している方によると100~120fpsでの動作のようです。
グラフィックは大差ない
『バイオハザード』に限らずですが、PS4 Pro→PS5へのアップグレードではグラフィックにそこまで大きな差は見られにくいです。最初にPS5版を起動して「めっちゃキレイじゃん!」と思うのですが、PS4版も起動してみると「PS4の頃からキレイだったな…」と気付くパターンが多い。
解像度はPS4が1080、PS4 Proが1620p、PS5が2160p。ダイナミック4Kとなっておりますが、基本的には2160pで動作しているようです。
レイトレーシングに対応しておりますが、レイトレーシングはリアリティがあるけどゲーム画面として必ずしも良くなるばかりとは言えません。暗い部分がリアルに暗くて見にくかったりするし、暗くなってディティールが埋もれてしまう事によって、テクスチャの精細さも感じにくくなる。
公式サイトでレイトレーシングON/OFFの比較ができるようになっています。光の広がりのリアリティはレイトレーシングONが素晴らしいですけど、ジルの肌の精細さはOFFのほうが良く見える。なんでここまで違うのか知らんけど。
ゲームとしての見やすさはともかく、ホラーゲームにおいてのレイトレーシングとHDRの光の表現は良いと思います。暗い場所で懐中電灯を当てながらの探索は怖い。
開発側にとっては、マシンパワーが上がって光の処理をほぼ全部レイトレーシングでやれるような時代になれば楽だとも思います。
レイトレーシングはフレームレートが下がりますし、ハイフレームレートは解像度が下がります。どちらもOFFにして触感もOFFにすればシンプルにPS4の強化版となる。解像度と高速ロードと3Dオーディオの差があります。フレームレートは表向きは60fpsで同じですが、PS4だと40~50fps、PS4 Proだと50~55fpsに落ちる場面もありますから、安定度はPS5の方が多少高い。
セーブデータ引き継ぎでトロフィーも獲得※
PS5版を起動時、もしくはOPTIONメニューからPS4版のセーブデータを引き継げます。
他のゲームだとPS4版を起動してアップロードする作業が必要なタイプもありますが、『バイオハザード』3作品は不要。
『バイオハザード RE:2』『バイオハザード RE:3』はトロフィーも完全に引き継ぎました。セーブデータを引き継いだ時点でPS5版のプラチナトロフィーを獲得。
しかし、セーブデータを整理してトロフィーに関連するセーブデータが消えてしまっていたら一部のトロフィーは獲得できない可能性があるようです。
『バイオハザード7 レジデント イービル』は完全な引き継ぎではなく、一部のトロフィーを引き継ぎます。
アップグレード料金は100円
海外ではアップグレード料金は無料ですが、日本では100円です。これは不当景品類及び不当表示防止法に引っかかる可能性があるため。
とは、顧客を誘引するための手段として、方法のいかんを問わず、事業者が自己の供給す
る商品又は役務の取引に附随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であ
つて、次に掲げるものをいう。ただし,正常な商慣習に照らして値引又はアフターサービ
スと認められる経済上の利益及び正常な商慣習に照らして当該取引に係る商品又は役務
に附属すると認められる経済上の利益は、含まない。
告示 | 消費者庁
後付けのオマケを豪華にすると、元の商品の価値がわからなくなるという問題に対応している。
正常な値引きやアフターサービスは良いけど、アフターサービスの範囲を超えると問題があるようです。
ですから、PS4版を売る時に最初から「PS5版への無償アップグレードに対応しています」と示している商品なら無料アップデート可能。この場合は後付けのオマケでなく、PS5版へのアップグレードを含んでいるのが元の商品の価値。
今回の『バイオハザード』3作品は無償アップグレードを予告していなかったので、PS5版へのアップグレードは後付けの豪華すぎるオマケになってしまいます。だからオマケとしてではなく別の商品として100円で販売する必要がある。
実際に摘発されたわけでなく、グレーっぽいので対応しておくという形なのでしょう。個人的には良い対応だと思う。無料でアップグレードしても摘発されない可能性も低くないと思いますけど、大企業がノリでグレーゾーンに踏み込むのは印象が良くない。
PS5版はアダプティブトリガー&ハプティックフィードバックという特別な対応もありますから、多少はお金が入らないと開発側の負担も大きくなるでしょうし、100円程度なら何の問題もない。
素晴らしいアップグレード
質の高いアップグレードで満足度が高い。PS4→PS5へのアップグレードにおいて、必要なポイントをしっかり押さえている。
質の差とは、例えば高速ロードの最適化具合。他のゲームだと「あんまり速くなってないな…」というパターンも多いですからね。『サイバーパンク2077』とか『メトロ エクソダス』とか。
アダプティブトリガー&ハプティックフィードバックはゲームの軸となる銃撃に適用されていてわかりやすいし、『バイオハザード ヴィレッジ』との統一感が良いです。
セーブデータの移行もPS4版を起動してのアップロードが不要なタイプだし、トロフィーの引き継ぎも嬉しい。
移行作業が面倒なタイプや、そもそも移行できなかったり、トロフィーを引き継がないゲームは珍しくない。
3Dオーディオも全作対応。表向きはPS5のゲームは全て3Dオーディオに対応している事になっているらしいですが、実際の音はPS4→PS5へのアップグレード後も平たいままのゲームも多い。『バイオハザード』は3Dオーディオを実感できる音であり、ゲームとの相性も抜群。
フレームレートとグラフィックもハード性能なりの効果があるかと思う。けど、PS4 Proで60fpsだったゲームはあまり有難味を感じないですね。グラフィックも頭打ちではないけどPS4 Proでキレイでしたし、昔のゲームハードほどの明確な差は感じにくいレベルになっており、2画面並べての高難易度の間違い探し状態。PS4 Pro→PS5のアップグレードで「高解像度、高フレームレート化」を推しても、見比べると肩透かし感は否めない。30fps→60fpsになるケースはとても嬉しいですし、少しの差でもキレイになるのは歓迎しますから、ネガティブなものではないですけどね。
ちなみに『バイオハザード7 レジデント イービル』のPS5版はVRに非対応です。これは『Hitman 3』のPS5版も同じでしたし、PS5ゲームのVR対応はPSVR2からになるかと思う。
カプコンの対応が素晴らしい。もうセールス的には止まりかけているであろう旧作3作を雑に扱わず丁寧なアップグレード。このシリーズを大切にしているのが伝わりますから、2022年10月28日の『バイオハザード ヴィレッジ ウィンターズ エクスパンション』と2023年3月24日の『バイオハザード RE:4』も楽しみです。PSVR2への展開にも期待。
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