魔法のようなアップスケール技術であるFSR 2.0が凄かったです。
FSRとは?
FSR(FidelityFX Super Resolution)とはAMDの超解像技術であります。
超解像技術とは、低解像度でレンダリングした画像を独自の補完処理でアップスケールして美しく出力する技術であります。
1080pでレンダリングした画像を1440pや2160pでレンダリングされた画像のように美しくアップスケールする。
1080pは低負荷ですから60~120fpsのフレームレートを保てますし、それでいて映像は1440pや2160pっぽい美しさという夢のような技術。まだまだ成長中の技術ですから、1080pをネイティブ2160pのように見せるのは難しいですけどね。
似たような超解像技術にNVIDIAのDLSS(Deep Learning Super Sampling)がありますが、こちらはNVIDIAのGPUでしか使用できないためPS5とは無関係。しかも、DLSSはAIを使った機械学習が必要。
AMDのFSRは機械学習が不要ですが、1枚の画像情報からアップスケールするのは難しいところもある。元の画像にシャープネスをかけてシャープにしたりするのが基本のやり方なのかなと思いますが、720pや1080pの粗い元画像にシャープネスをかけても、本来の2160pのような画にするのは難しいでしょう。どこまで再現精度を高められるかが課題。
FSR 1.0は既にPS5で実用化済
『GHOSTWIRE: TOKYO』でFSR 1.0は使われています。
『FORSPOKEN』のPS5版とPC版でもFSRを使用するとのこと。
PS5で最初にFSRが導入されたタイトルは『Arcadegeddon』というゲームのようです。
パフォーマンスモードにFSRを導入し、約1440pの解像度から2160pにリスケーリングして1800pに近いクオリティを実現したという。
レイトレーシング+60fpsで、それなりの解像度を実現したとも。
Arcadegeddon Becomes First PS5 Game to Get AMD FSR Support
この『Arcadegeddon』は、FSR 1.0にプラスαしたハイブリッドアップスケーリングを利用しているとのこと。つまり、FSR 1.0に他のアップスケーリング技術を組み合わせて使えるということ。このあたりは開発者の技術と想像力で差がつくところになりますね。
2022年に発売を予定している『Daymare: 1994 Sandcastle』もFSR対応を明言しています。
FSRはハードに依存せず使用可能なため、NVIDIAのチップセットを使っているSwitchでも使用できます。実際に『Nintendo Switch Sports』でFSR 1.0が使用されているようです。
ショボかったFSR 1.0がFSR 2.0で急成長
超解像技術で最初に話題になったのはNVIDIAのDLSSです。後追いでAMDのFSR 1.0が登場しましたが、美しさではDLSSに負けていました。やっぱり機械学習なしではこの程度かという。
しかし2022年5月12日、PC版の『DEATHLOOP』でFSR 2.0が初めて実装されると、DLSS 2.3を超えてるんじゃないかと思うほどのクオリティを見せました。
ちなみにスマホのような小さな画面で見ても違いはわからないと思います。大きなモニターで映像出力も2160pで見てください。
FSR 1.0やDLSS 2.3ではボヤッとしている部分がFSR 2.0では鮮明になっていたり、ギザギザになっている部分がシャープになっていたりします。
全ての部分でFSR 2.0がDLSS 2.3に勝っているわけでもなく、DLSS 2.3のほうが良い感じなところもあります。TechPowerUpのレビューによると「新しいFSR 2.0は、DeathloopでのDLSS 2.3と同じように素晴らしく見えるのである。時には少し良く、時には少し悪くなりますが、全体としてはAMDの大勝利です。FSR 1.0とFSR 2.0を比較すると大きな向上が見られます。」とのこと。
AMD FSR 2.0 Quality & Performance Review – The DLSS Killer | TechPowerUp
なんにせよFSR 1.0からFSR 2.0への進化幅は大きく、DLSS 2.3と互角の勝負ができるようになったと言えます。FSRが機械学習を使っていない事を考えると、恐るべき技術です。FSR 1.0ですら一定の効果があったわけですから、そこからの進化は嬉しい。
このFSRが進化すれば、PCに比べてマシンパワーの弱い家庭用ゲーム機でも、アップスケール4K+120fpsでプレイできるゲームが増えるでしょう。
XboxSeries X|SではFSR 2.0が開発キットに含まれています。
PS5は公式にはサポートしていませんが、ソフト開発者側が少し余分な努力をすれば実装できるでしょうとのこと。
FSR 1.0はモバイルやローエンド機向けで、FSR 2.0はミドルエンドやハイエンド機向けということです。FSR 2.0は、まだPC版『DEATHLOOP』にしか実装されていませんので、PS5で使われていくかどうか不明。PS5はVRRへの対応が遅かったですから、今回もその独自仕様が壁になってFSR 2.0が使われにくい可能性もある。注目するなら『DEATHLOOP』と『GHOSTWIRE: TOKYO』のアップデートですかね。
新作で見たら2022年10月11日発売予定の『FORSPOKEN』。FSRを実装する事は発表済ですが、このゲームでPS5版がFSR 1.0なら、FSR 2.0の実装はハードルが高いんだなとわかります。
最初にDLSSが話題になった時に「こういう技術って家庭用ゲーム機にこそ欲しいよなぁ」と思っていました。でもPS5もXboxもAMDのため諦めるしかなかったわけですが、AMDのFSR発表で光明が見えた。
ただ、FSR 1.0はイマイチのクオリティでした。しょせん付け焼き刃かと思っていたら、今回のFSR 2.0が革命的な進化を遂げていてビックリ。今後の進化にも期待します。
SIEのゲームでいうと『Horizon Forbidden West』は解像度優先モードとフレームレート優先モードで画質に大きな差がありました。フレームレート優先モードがFSRなどのアップスケーリング技術でグラフィック向上すれば、かなり嬉しいですね。
コメント
Farming Simulator22の公式発表で各プラットフォームFSR2.0に対応したようです
ttps://twitter.com/farmingsim/status/1529024638616993796?s=21&t=QgdXqWPFZcG4OJyQW1tCxQ
ホライゾンやフォースポークンのような3Dでキャラをグリグリ動かすようなゲームではないですが、農作物や施設などでオブジェクトが増えて負荷が高くなりやすいタイプのゲームなのである程度FSR2.0の恩恵を受けやすいゲームだと思います。
何より開発側が頑張ればPS5 でもFSR2.0がいけると分かったのは大きそうです