『Horizon Forbidden West(ホライゾン 禁じられた西部)』のプラチナトロフィーを獲得したのでレビュー。
PS5の恩恵が素晴らしい
基本的には前作の続きであり強化版。その強化の中でPS4→PS5というハードの進化で大きな恩恵を受けている。
まず高速ロード。膨大なクエストの消化や素材集めにおいてファストトラベルを多用しますが、近いエリアなら瞬時、マップの端から端でも5秒前後というロード時間。PS4ならSSDに換装しても30秒ですし、HDDなら1分かかるゲームもある。PS5でオープンワールドの快適さが劇的に変わった。
ちなみに直前にリリースされた『サイバーパンク2077』は10~15秒のロード時間で、PS5としては最低レベルのゴミ。PS5基準だと3秒台までが高速、7秒台が標準、10秒超えたらゴミという感じ。
触感も良いです。弓がメイン武器のゲームですから、アダプティブトリガーで弓を引く感覚がハマる。もう旧世代のスカスカトリガーでは物足りないですね。
このゲームは前作から戦闘アクションが素晴らしく、操作性が良くて動かしていて楽しいゲームです。そこが触感の面白さで強化されています。
グラフィックも素晴らしい。正直、PS5世代のグラフィックは「前世代より凄いのはわかるけど感動はしない」という感じでした。PS4世代で「すごい!」「本物みたい!」という感動があり、そこから解像度が上がってもインパクトは弱い。
『Horizon Forbidden West』の美しい風景は別格で、常にフォトモードで撮影したくなる。この美しい風景が「この世界にもっといたい」「もっといろんな場所も見てみたい」というゲームへの依存性を生む。
オープンワールドゲームの風景においては、PS4世代では細かい部分の粗がありましたから、部分的には美しい風景があるけど、粗さを感じる風景も多かった。PS5ではそこが洗練されて、一歩歩くごとに美しい風景を感じるようになった。
そしてグラフィックと合わせて重要な3Dオーディオ。環境音が正確な位置から聞こえることで、この世界のリアリティを増す。
不満は感じないグラフィックですが、レイトレーシングは使われていません。この規模のゲームだと難しいのかなと思う。
移動アクションはくどい
戦闘は素晴らしかった前作からさらに強化されていて大満足ですけど、移動アクションはイマイチでした。
まんま『アンチャーテッド』の崖上りですが、さほど面白いわけでもないのにしつこいほどやらされる。
この崖上りが生かせるのは、『アンチャーテッド』のような映画的な演出だったり、自由な探索や敵拠点攻略の中で「あそこに上ってみよう」と自分でルートを決めて移動する時。
『Horizon Forbidden West』では、クエストで正解のルートを移動させられるだけの使い方が多すぎる。その結果、この移動アクションが嫌いになっていき、自由な探索の中でも使いたくなくなってくる。
『アンチャーテッド』には必要なアクションだったけど、このゲームはとりあえず真似してみたって感じ。自由なオープンワールドの探索としては魅力のあるアクションだけど、クエストのハラハラしない1本道の移動やパズルのための移動作業で必要以上に入れるという大失敗。
ここまで強制的にやらせるなら、もう少しキビキビ動くようにすれば良かったとも思う。気持ち良く動く崖上りなら、ストレスになりにくい。
海外ドラマのシーズン2というストーリー
ストーリーは前作の続きです。申し訳程度のおさらいはあるが、新規では楽しみにくいでしょう。
「海外ドラマのシーズン2」という印象でした。前作の展開を引き継ぎつつ、超展開というか超科学力みたいなのが出てきて破綻スレスレ。前作に負けないインパクトを出そうとして、無理が出てくる感じ。
まだまだ続きそうな展開ですが、次は「海外ドラマのシーズン3」らしく「そこまでやっちゃうと冷める」というレベルで無茶苦茶になりそう。
本作も「破綻スレスレ」とは書いたけど、敵側の超科学力から考えると穴だらけでもある。それでも大胆な展開をギリギリ楽しめました。無茶な設定も1回目は驚きを楽しめる。ただ「もう期待できないな」という気持ちでもある。
ストーリー的には続きますから、DLCか次回作があるかと思う。
今のままではストーリーに期待しにくいので、せめて主人公を交代してほしいところ。もはや破綻スレスレのストーリーなので、主人公がアーロイである必要もない。
魅力のないキャラクター
『ファークライ6』と同じく、出てくるキャラクターがモブキャラみたいなのばかりで魅力がない。
アーロイは外見の問題がネタになるが、むしろ内面的な魅力のなさが問題かと思う。好きになれるような場面が1つもなかったし、個性もない。長時間のオープンワールドゲームで、共感も好感も持てない主人公を操作するのは怠い。「孤独」がポイントではあるが、描き方が微妙だ。外見の魅力がないからこそ内面で惚れさせてほしかったが、期待ハズレだ。
これは周りのキャラクターも問題で、モブキャラみたいな仲間の中では魅力的な人間ドラマを作りにくい。例えば『ゴースト・オブ・ツシマ』は、仲間が個性的で仁との絡みも良かった。絡みの中で仁の魅力も出てくる。
外見的にも前作から顔が変わったのは不自然でしたし、世界を救うために孤独と戦っている人の顔じゃない。顔に迫力がなく、生き様が外見に出ていない不自然さもある。
でも冷静に考えると、洋ゲーにしちゃ美人なほうではある。ポリコレが言われる前から、洋ゲーの女性はゴリラとか言われるのが普通だった。例外はたまにしかなかった。
唯一、サイレンスだけは魅力を感じたキャラクター。
渋さがカッコいいし、謎めいていて敵のようなあやしさもあるけど人間味も見せる。アーロイもサイレンスだけには真っすぐぶつかっている感があった。憎たらしいけど、アーロイの孤独を理解してくれる存在のようでもある。
洋ゲーは魅力的なキャラクターを作るのが下手な印象です。会話の文字数だけはめちゃくちゃ多いけど、本当につまらない会話が多い。
これは日本の漫画文化とそのキャラクターの魅力が強すぎて、日本人だから感じる問題かもしれない。
ポリコレの問題もあるかもしれない。思い切ったキャラを作れず、無個性で地味になりがちか。
『ゴースト・オブ・ツシマ』みたいに、主要キャラがほぼ日本人であれば個性的なキャラを作りやすくて、多人種になると「この人種にこういう役をやらせるのは偏見に…」という問題もあるのかも。
ポリコレと言えば、ストーリーの最大級のポイントに同性愛があり、ラスト・オブ・アス パート2に続いてゴリ押し感が強い。ポリコレを意識してねじ込まれたように感じてしまうのが嫌だ。ポリコレ汚染以前は、いわゆる百合ネタとして嫌悪感は0だったのに。
まるで『北風と太陽』だ。今のポリコレ汚染は『北風』であり、抵抗感を示す人が多い。
ユーザーはポリコレ問題に騒ぎますが、メディアやインフルエンサーは擁護以外では触れにくい問題なのも難しいところ。NOと言えるのはしがらみのないユーザーだけ。
バグが多かった
- 訓練場と闘技場で暗転したまま進行不能
- 突然のフレームレート低下
- NPCの位置がズレて進行不能
- アーロイがスタックして進行不能
- 字幕が表示されているけど音声が出ない場面があった
- たまに突然の暗転
バグは多く感じ、まだ未完成と言える。
進行不能系が多いが、オートセーブが機能していて再起動も速く、やり直せば解決した。
訓練場と闘技場で暗転したまま進行不能になるバグは酷すぎると思ったが、特典装備を外したら解決した。別の原因だったかもしれないけど、『リターナル』でも特典装備で進行不能がありました。
90点
現時点でのメタスコアは88点(106件)であり、個人的にも85~90点というところで納得。
めっちゃハマってプラチナトロフィーを獲得しましたし、個人的には90点。悪いところもあるけど、これだけ熱中させられて80点台にはしたくない気持ち。悪口はいっぱい言えるけど好きな友達みたいな。
そもそも、減点法のレビューはゴミだと思ってる。AAA級ゲームは様々な要素を含むので、その分だけ減点要素がある。そつのないシンプルなインディゲームが高評価になりやすいのは減点要素が少ないからというのもある。だからメタスコア90点でも意味が全然違う。
『Horizon Forbidden West(ホライゾン 禁じられた西部)』も悪いところは軽く10以上言えるけど、この美しい世界の冒険と機械獣との戦闘という強い軸があり、ハマってプレイしたというところで90点級の存在。
プラチナトロフィーの設定も良くて、ストレスなく達成感を与えてくれる。私はサイドクエストもできる限りやりながらプレイしていたので、クリア+3時間程度でプラチナトロフィーを獲得できました。
- PS5の恩恵:100点
- ボリューム:100点
- トロフィー設定:100点
- 戦闘アクション:95点
- グラフィック:95点
- ストーリー:70点
- 安定度(バグ問題):60点
- 移動アクション:50点
- キャラクター:20点
続編らしい正統進化で良かったです。前作からの素直な強化。PS5というハードの性能も生きている。水泳、滑空、飛行、フックなどの味付けもある。
システム的に劇的な変化はないけど、そもそも前作が良かったので、続編で劇的な変化は求めていない。
オープンワールドゲームとして古い型にハマっている問題はある。おつかい的なサブクエストや、ありきたりなアクティビティなど。やる前から「オープンワールドゲームは大体そういうもの」という気持ちがあるので、不満とまではいかないけど、大作洋ゲーにありがちな、ありきたりな要素のミックスとコピペ水増し感はあると感じる。優等生ゲームだけど、オープンワールドゲームとして新たな衝撃は打ち出せていない。
私は古いオープンワールドゲームの型も好きなので問題ないんですけどね。実際、こういうシステムが受けているから定着しているわけでもある。「批評家受け」という部分で評価されにくい可能性がある。
「ありきたりな要素のミックス」という点で、いろいろ詰め込みすぎて、操作や管理が複雑になっているのは、ライトユーザーには難しいかもしれない。
いろいろ詰め込まれているから、褒めやすくも叩きやすくもあるゲーム。発売前にユーチューバーに配っており、先行プレイさせてもらえたユーチューバーは過剰に褒めている感もありますし、先行プレイさせてもらえなかったユーチューバーは拗ねて悪い点を言いやすいかなと思ったりもする。自分がユーチューバーなら絶対そうなるから。
面白いけど日本では売れない
面白いけど、日本での売上はイマイチなのも予想できる。プレイステーションから人が離れていて、SIEの宣伝力やアーロイのようなキャラクターでは売れていかない。
海外だとダウンロード版への移行があるが、日本はパッケージ版が主流なので、ファミ通の出すショボい数字が日本の現実かと思う。
PS5の現状はXbox360の時みたい。面白いけど日本ではマニア以外が盛り上がってない感じ。まだプレイステーションのブランド力が残っているからXboxよりは話題性があるけど、プレイステーションの全盛期がすごかっただけに、落ちぶれ感が強いという哀しさもある。
とりあえず『Horizon Forbidden West(ホライゾン 禁じられた西部)』が期待通りの面白さで良かったです。
コメント
Al great deal for a web developer. Details: https://zetds.seychellesyoga.com/var_montero