90年代の味がありつつVR対応で洗練されていた『HUMANITY』概要と感想

レビュー・感想

2023年5月16日にリリースされた『HUMANITY』(3,410円)の概要と感想。

『HUMANITY』とは?

レミングス系のパズルゲームです。
放っておくとひたすら直進する群衆を方向指示やジャンプ指示などのアイテムを置いてゴールに導くゲーム。ゲームが進むにつれて新たなアイテムを入手して、基本ルールは同じながら別のパズルゲームのように感じるほどプレイ感覚が変わります。
ゴールに導くだけなら難しくありませんが、GOLDYという収集アイテムがあります。群衆をGOLDYと一緒にゴールに導く。
一定数のGOLDYを集めると新たな能力がアンロックされます。

操作方法(VRモード)

左スティックで移動。
×でジャンプ。

右スティック↑↓でカメラの前進と後退。
右スティック←→でカメラ旋回。
でカメラ上昇、でカメラ下降。

+左スティックでアイテムを使う。
L2/R2でアイテム切替。

R1で早送り。 ※能力入手後
L1で一時停止。 ※能力入手後

良かったところ

面白いパズルゲームの条件を満たす

『オノゴロ物語』の時に書いた面白いパズルゲームの条件。

  • 攻略情報がギリいらないくらいの悩んで解けるバランスが最高
  • 素晴らしいのはエリアがコンパクトな事と面倒な作業がない事
  • ルールの覚えさせ方も上手い

『HUMANITY』は全て満たしており、優れたパズルゲームです。

難易度は絶妙。簡単すぎず難しすぎず、解けた時の気持ち良さがあり自分の頭が良いと錯覚できます。これがパズルゲームの一番の醍醐味であり、中毒性を生む部分。
ゲームを進行させると単純に難易度が上がるのではなく、新しいアイテムを提供して変化をつけるやり方も上手いです。難易度自体は急激には上がっていないように感じました。

エリアもコンパクトなエリアが多く、操作性も快適で面倒な作業に感じた部分はありません。
リトライは「リセットしてリトライ」と「アイテムを置いたままリトライ」の2種類あり、「アイテムを置いたままリトライ」が素晴らしいアイデア。これがなかったら面倒くさくて嫌になった可能性があるほど決定的に効いています。このシステムがあるからトライアル&エラーに熱中できました。

パズルのルールもわかりやすく、ゲームに入りやすいです。いろんなアイテムがありますが、小出しにされていますので1つずつ使い方を覚える事ができました。

ヒントとGOLDYの絶妙なバランス

オプションメニューにHINTSがあり、全てのステージでヒント動画が見られます。
これは非常に素晴らしい。いくら考えてもわからなかったらYoutube等に頼る人も多いでしょうから、その手間をかけさせずゲーム内で公式に見せてくれる。特にPSVR2ではスマホが使いにくいですから、ゲーム内動画は有難い。

でもHINTSを見れば全て解決だとゲームとして答えを見せすぎです。これにGOLDYシステムが噛み合っていて、クリアするだけならHINTSを見ればクリアできるけど、GOLDYは回収できません。そこは自分で考える必要があります。
優しいHINTSとプレイヤー自身が考える余地を残すGOLDY、このバランスが絶妙です。

ボリューム

クリアするだけで7時間ほどかかりました。GOLDY集めや寄り道ステージも残しており、まだまだやり込みの余地があります。しかも、ステージ自作モードまであります。

3,410円のパズルゲームとして十分なボリュームがあります。

昔のSCEとかSEGAっぽい

トレーラーを視聴すると、昔のSCEとかSEGAっぽい匂いがします。大手が個性的なゲームと個性的なCMを作っていた時代。PS3の初期までは、こういう個性的なゲームを多く作っていました。

『HUMANITY』2023年5月16日発売決定トレーラー | PS5™ (PS VR2対応)、PS4® (PS VR対応)

ゲーム内の演出も素晴らしかったです。しかもVRで体験しましたから肌で感じられた。特に終盤は何に感動しているかわからない謎の鳥肌が立ち、他のゲームでは味わえないような芸術性と感動がありました。よくわからん芸術っぽいものなら誰でも作れますが、しっかり心が反応するものは素晴らしいです。
古き良き和ゲーの「こういうセンス」が最高です。

『Organ Quarter』は90年代のサバイバルホラーのVRオマージュという感じでしたし、『HUMANITY』も90年代のSCE・SEGAのゲームのVRオマージュっぽく感じられます。

パズルゲームは淡々とパズルするゲームも多いですが、『HUMANITY』はストーリーと芸術性の高い演出、そしてVRでの体験もあり、濃い味付けで良かったです。

デイワンでゲームカタログ入り&PSVR2対応

このゲームは2023年5月16日リリースで3,410円。同日同時間にPS Plus エクストラorプレミアムのゲームカタログ入りしました。いわゆるデイワンでのゲームカタログ入りです。

そして非VRとVRの両対応です。

PSVR2にとって非常に良い売り方だと思います。
Meta Questの移植タイトルではVRファン以外は反応しないのが現実です。VRゲームとしては注目度が高い『Red Matter 2』も『Hubris』も既存のPSユーザーにPSVR2をアピールする効果はほぼないでしょう。
ローンチ以降、PSプラットフォームの強みをほぼ活かせていない状態が続いていました。

『HUMANITY』は非VRゲームとしてゲームカタログ入りして多くのユーザーにプレイされて注目もされます。そこに「PSVR2にも対応している」というアプローチでVRへの興味を引けます。

PSVR2対応

このゲームをプレイしたのはPSVR2に対応しているのが一番の理由です。非VRゲームのVR対応こそPSVR2にとって重要。
VRモードはタイトル画面のメニューから起動します。

当然ながら「VRゲームらしさ」みたいなものは薄いですが、それでいいんです。そこに執着しても売れにくいからゲームが出ませんし、似たようなゲームも増えてきます。素晴らしいゲーム世界にVRで入れる、まずこれが素晴らしい。
特にこのゲームはワラワラと群衆が舞う演出が独特ですから、距離が近くて立体的なVR世界での体験は良いものでした。

ミニチュア模型にように自分の目の前にパズルフィールドがあり、全体を見やすいのも感じました。

VRモードでの操作性も非常に良かったです。
操作で戸惑ったのはHINTSでの巻き戻し・早送りがL2R2という記載だったけど実際はL1R1という間違いがあったくらい。

エンハンスは『Rez Infinite』『テトリス・エフェクト』『HUMANITY』を非VRとPSVR2の両対応でリリースしており、どれもゲームプレイと芸術性に高い評価。次回作も注目です。

気になったところ

VRモードでトロフィーバグ

いきなりVRモードで始めたらトロフィーが一切獲得できませんでした。非VRモードにして、既にGOLDYを全取得したSEQUENCEのステージを再プレイして1つクリアしたらトロフィー獲得。そこからVRモードに戻したらVRモードでもトロフィー獲得できるようになりました。
これで解決したかと思いきや、アプリを終了して再び起動してVRモードで始めるとトロフィー獲得できなくなっていました。

これは『バイオハザード ヴィレッジ VRモード』の仕様とは違ってバグでしょうね。

【追記2023.5.19】
VRモードでのトロフィーバグを修正予定であるというツイートがありました。
どうやらデュアルセンスで起動していればトロフィー獲得できるようですね。私の症状を見ても納得です。


「修正パッチ適応後は、タイトル画面にて正しく取得されていなかったトロフィーが獲得できるようになります。」とあり、やり直しは必要なさそうで良かったです。

終盤のRTS風

終盤、RTS(リアルタイムストラテジー)っぽい感じになります。飽きない変化があるのは良いのですが、パズルゲームとしてはあまり面白くないと感じました。
自由に戦略を考えられるRTS(リアルタイムストラテジー)なら面白いですが、パズルと合わせてしまうと相性は良くないと思います。

悪くはないですけど、序盤・中盤の方が面白かったです。

まとめ

  • グラフィック:★★★☆☆
    VRモードのグラフィックは普通です。演出はカッコいいですし、大量の人間を描画している迫力は良いです。
  • ストーリー:★★★☆☆
    淡々としがちなパズルゲームを牽引するストーリーがあるのは良いです。
  • 酔い度:★★★☆☆
    ★3にしていますが、こういう神視点のVRゲームの酔い度はわかりません。
  • 総合:★★★★
    『Walkabout Mini Golf』が「パターゴルフとしては★5だけど個人的な好みで★4」だったように、『HUMANITY』も「パズルゲームとしては★5だけど個人的な好みで★4」です。
    新規IPながらパズルゲームとして洗練されており、絶妙な難易度、芸術性の高い演出、システムと操作の快適さが素晴らしく、隙のない完成度でした。

コメント

  1. 匿名 より:

    参考になりました。これからもvrゲームのレビュー期待しています。

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