PlayStation Showcase 2023でSIEのライブサービス型タイトルと思われるものが4本発表されました。
2026年3月末までに12タイトル
SIEは2025年度(2026年3月末)までにライブサービス型タイトルを12本リリースする予定です。
現時点では『MLB The Show』シリーズがライブサービス型タイトルとして紹介されています。
2022年度(2023年3月末)までに既に3タイトルのライブサービス型タイトルがあることになっており、おそらく『グランツーリスモ7』と『Destiny 2』です。
厳密に言えば『グランツーリスモ7』は2022年3月4日発売なので滑り込みで2021年度ですけど、ライブサービス型タイトルとしては2022年度にカウントされているのでしょう。これに関して思い出したのは、2022年3月25日のPS公式ブログで「ライブサービスとしての成長に伴う期間限定のリワード増加」という表記が「期間限定のリワードアップ・キャンペーンを行う」に変更されたこと。この時点ではライブサービスを名乗りたくなかったようです。
ちなみにバンジーの買収完了は2022年7月19日に発表されました。
ライブサービス型タイトルは、SIEのメインストリームになる可能性があります。当たれば大きいでしょうけど、当てるのは難しい。
PlayStation Showcase 2023でベールを脱いだ
ライブサービス型タイトル12本に含まれている可能性があるタイトルがPlayStation Showcase 2023で初公開されました。
- Fairgame$
PS5 PC
SIE/Haven Entertainment Studios Inc.
Fairgame$ lang:ja | Twitter
・PvPマルチプレイヤーゲーム、超富裕層への強盗がテーマ - Helldivers 2
PS5 PC
SIE/Arrowhead Game Studios AB
ヘルダイバー OR Helldivers lang:ja | Twitter
・PvEマルチプレイTPS - Marathon
PS5 XboxSeries X|S PC
SIE/BUNGIE
Marathon lang:ja | Twitter
・脱出PvPマルチプレイFPS、シングルキャンペーンなし、SFテーマ
- Concord
PS5 PC
SIE/Firewalk Studios
Concord lang:ja | Twitter
・PvPマルチプレイFPS、Sci-Fiテーマ
ライブサービス型タイトルはPCマルチが基本ですね。プラットフォームを必要以上に限定したら成功は困難。BUNGIEに関してはXboxSeries X|Sも含みます。2026年3月末まで年間2~4本ペースでライブサービス型タイトルをリリースしていると、SIEのゲーム全体で見たらPCマルチの方が多くなりそうです。
『Helldivers 2』の開発会社であるArrowhead Game Studios ABはSIE傘下ではありませんから、もしかしたら12本には含まれていないかもしれません。
販売元はSIEです。前作もSIE販売ですし、『Helldivers 2』の評価が高ければ買収されるかもしれないですね。他の3つは全て買収した会社ですから。
初報はインパクト不足
Twitterの反応を見ると話題性が弱く、PlayStation公式の動画再生数も多くはありません。知名度のない新規IPなので再生数が少ないのは仕方ないです。でも内容のつまらなさが大きな問題でした。数あるPvP・PvEのゲームの中から、あえてこれらをプレイしたいと思える強い魅力が感じられませんでした。大きな発表イベントで見せても盛り上がりにくい内容だと思います。
唯一『Helldivers 2』は撃ちまくるTPSとして普通に楽しそうではあります。なんで楽しそうに見えたかと言えばプレイ動画っぽいところが多かったからでもあると思います。地球防衛軍っぽく撃ちまくれそうだというのが伝わりました。他の3タイトルはほぼムービーシーンであり、キャラクターのルックスが魅力的でもないのに、あんなものを楽しそうなゲームとして受け取るのは難しいです。他のタイトルでもそうですが、ムービーシーンがメインなら、よっぽど強い個性や魅力を見せてくれないとキツいですね。
『Horizon Zero Dawn』や『ゴースト・オブ・ツシマ』は、新規IPとしての初報でもけっこうなインパクトを残していました。開発会社の知名度も大きいですけど、トレーラーの面白味もしっかりあった。
今回のPlayStation Showcase 2023でSIEは非VRゲームを5タイトルを発表しました(Helldivers 2含む)。うち4タイトルがライブサービス型タイトルだと思われるものであり、SIEがライブサービス型タイトルに力を入れる姿勢を明確に見せています。ただ、SIEの大きな発表イベントでのSIEの4枠がこれだと、滅多に開催されない大きなイベントとしてちょっと残念だったのが正直な感想です。買収した会社が3つ関わっていますし、これなら他の会社を買収したりJapanスタジオを残していた方が…と思えちゃうところもなくはないです。
あくまでも大きな発表イベントでの最初のトレーラーを見ただけでの感想ですから、今後は印象も変わってくるでしょう。否定から入って手の平を返す展開になれば良いです。
ジム・ライアン&ハーマン・ハルスト体制独自の動き
PS5とPS Plusが順調なのは、前体制までのPSの資産を上手に運用しているからです。
ライブサービス型タイトルの注力とそれに関わる買収は、ジム・ライアン&ハーマン・ハルスト体制独自の動きです。これが当たるか外れるかで真価が問われます。
Japanスタジオを解散し、PSVR2への注力が見えない中、ジム・ライアン体制で力を入れているライブサービス型タイトルがパッとしなかったら、アンチ ジム・ライアンの火が大きくなるかもしれません。
Geoff Keighleyのアンケート結果でも、今回のShowcaseはやや不評という反応です。日本人に合わないのではなく海外でも不評ということです。ジム・ライアン&ハーマン・ハルスト体制におけるライブサービス型タイトルへの注力と買収、危うい方向に進んでいる気もします。
How would you grade the PlayStation Showcase?
— Geoff Keighley (@geoffkeighley) May 24, 2023
海外の大手サイトPush SquareもFairgame$を「敗者」として指摘しています。別の記事ではConcordを「Concordは、間違いなくもっとひどいものでした」と。
その衝撃的なほど無味乾燥なCGトレイラーは、イベントの残りの部分を失望させる基調となりました。しかし、これが2022年にソニーが買収したデベロッパー、Haven Studiosの「革新的な」プレイステーション用新規IPなのか?
簡単におさらいしておくと、『Fairgame$』は、姿勢を明確にした対戦型マルチプレイヤーヘイストゲームです。似たようなライブサービスタイトルが定期的に発売されていることを考えると、関係者全員がこのような音痴な動きをしているようにしか思えない。間違っていると証明されたいところですが、こんなものを作っているようでは、ソニーのライブサービス計画を信頼するのは難しいですね。
PlayStation Showcase Biggest Winners and Losers | Push Square
「こんなものを作っているようでは、ソニーのライブサービス計画を信頼するのは難しい」は私と同じ感想。メタスコア80点超えの『Knockout City』ですらサービス終了します。ライブサービス型タイトルは勝者の少ないレッドオーシャンです。初報でコレを提示しちゃうSIEが勝者になるのは難しいのではと思います。
Push Squareは「私たちは、ソニーのライブサービス戦略を擁護する数少ない出版物の1つであり、そのアイデアが本質的に悪いとは思わないからです。」とも言い、ライブサービス戦略自体は否定していません。出てきたゲームのトレーラーが酷かっただけで。でもこの一文を読むと、海外のメディアでもライブサービス戦略は否定的のようですね。Push Squareは擁護していたからこそガッカリも大きかったのかもしれない。
12本の内訳は?
- MLB The Show
- Destiny 2
- グランツーリスモ7
- Fairgame$
- Helldivers 2
- Marathon
- Concord
- The Last of Us マルチプレイ用新作
- London Studioのロンドン舞台のファンタジー世界風オンライン協力型ゲーム
- Savage Game Studiosの大型ライブサービスアクションモバイルゲーム
- (Horizon マルチプレイ用新作?)
- (???)
今回4タイトルが発表されたことにより、全12タイトルも埋まりかけてきました。SIEとしては、やっぱり『The Last of Us』や『Horizon』らのIPを生かしたライブサービス型タイトルに本命になるのかなとも思います。となると『ゴッド・オブ・ウォー』や『アンチャーテッド』も使うのかな?
PSVR2としては今のところ『グランツーリスモ7』ですね。
『Firewall Ultra』も含んでほしいところです。内容が良ければ開発会社が買収されて、貴重なVR専用のライブサービス型タイトルになれそうですけど。VR専用はそれだけで大きな特徴になります。
という事で、SIEが今後力を入れるライブサービス型タイトルの4本(多分)がベールを脱いだPlayStation Showcase 2023だったわけですが、世間(おもにTwitterとYoutube)の反応は薄いように感じますし、個人的にも物足りなさを感じました。SIEのライブサービス型タイトルのお披露目は不安を残す結果となりました。
ライブサービスは当たれば莫大な利益になるでしょう。SIEとプレイステーションを大幅に成長させる可能性を秘めています。でもGoogle Stadiaのように、大きな数字の可能性だけ夢見て不用意に飛び込んでいるようにも見えます。
コメント
> 『Horizon Zero Dawn』や『ゴースト・オブ・ツシマ』は、新規IPとしての初報でもけっこうなインパクトを残していました
そう?
Horizonなんか散々ケバいケバい言われてたし、キルゾーンのところだからグラフィック以外は期待できないなーって扱いだったし、ツシマなんか完全にクソゲー扱いされていたタイトルで、どっちも発売後に評価がひっくり返ったやつだと思うけど。
1発目のトレーラーがけっこうなインパクトを残しているという話ですから、否定的な意見をぶつけたくなる人も含めて反響の大きさがあったと言えるかと思います。
それなりのインパクトが残せていないFairgame$やConcordは、反響自体が小さすぎます。開発者は有名ですが新規スタジオですから知名度では不利ですけど、見た人の多くが何か言いたくなるようなインパクトが欲しかった。特にConcordは反応が薄く、このトレーラーじゃケバいとも言われないしクソゲー扱いもされません。
当時の周りの評価の印象の話なら『Horizon Zero Dawn』や『ゴースト・オブ・ツシマ』は記事中に公開時の動画へのリンクが張ってあって高評価のコメントが多く残っていますし、私の周りでは発売前から期待していた人が多かったですし、私自身も同じでした。
しかし、それが多数派だったかのように押しつける気はありません。環境が違う個人の印象ですから、真逆の印象だった人もいるでしょう。実際、「ゴースト・オブ・ツシマ クソゲー」で検索して調べてみたら、まとめサイト=5ちゃんねる系のところが発売前にクソゲー扱いする記事を作っていました。私もこういうのを当時見ていたら印象が変わっていたかもしれないですね。
ついでに発売後にクソゲー扱いする記事も多く引っ掛かりました。これは高評価で気になって買ったけど自分には合わなかったというパターンも見られます。
”興味ない”という感想がすべてです。
どうもジムライアンは既存ユーザーの満足度ではなく新しいユーザー獲得のために動いてるように感じます。
新しいユーザーを獲得しなければ成長はないですが、強固であった地盤を崩しつつあることも認識してほしいですね。
たしかに新しいユーザーの獲得という意識は強そうです。それ自体は良いとも思います。
ゴッド・オブ・ウォーとかスパイダーマンとか、やる事はやっていますけど、こういう大きな発表イベントで興味を持ちにくいSIEのゲームが増えてくると不安と不満も感じてきます。
この不満を生んでいるのはJapanスタジオ解散かもしれません。前体制からの既存ユーザーの満足度にも関わる部分。
新体制で買収した会社メインで動いている今回のライブサービス型タイトル。そのお披露目としては、今回のトレーラーでは不満が強くなりますね。
個人的にはもう割り切っているはずの新体制によるJapanスタジオ解散でしたけど、新体制で加わったスタジオが平凡なトレーラーを見せてくるなら蒸し返したくなってしまうのも実感しました。
冷静に記事を読み返すと、恨みを乗っけて言いすぎかなとも思いました。まだ最初のトレーラーを見ただけなのに。
Push Squareも同じ不満を持っていたのは安心しましたけど。
ゲームが成功する事への期待はあります。個人的にはインパクトが弱いトレーラーだったと言えますが、クソゲーになってほしいわけではないですから。これこそ発売後に評価がひっくり返ったやつになればいいなと思います。
SIEって、ゲームプレイにしろシネマティックトレーラーにしろ「ユーザーの眼をある程度惹きつける物を出してくれる」っていう信頼感があったんですよね
発売が5年後くらいになりそうな、情報量ほぼ皆無のトレーラーを出してきたのは確かに残念でした
今回、個人的にも物足りなかったですけどジェフ・キーリーのアンケートだったり海外メディアの反応でも厳しめの評価ですね。どこが悪いかの言及もありますし、それはSIEに伝わるかと思いますから、次いつになるかわからないですけど改善は期待しています。
あくまでも発表イベントの内容での話ですから、愚痴りつつも実際に発売されるゲームが面白ければOKだと考えます。