『オノゴロ物語』をクリアしました。良い余韻に浸れています。
このゲームはパズル&アクションゲームです。
プレイヤーは陰陽銃という2丁拳銃を使います。
要石という大きな石に繋がれている少女ハルをプレイヤーが石ごと動かしてハルにギミックを作動させたり、神籬(ひもろぎ)というエネルギーを陰陽銃に吸収してから、それを放って敵を倒したりギミックを作動させたりします。
良かったところ
パズルのバランスが良い
パズルゲームは攻略情報がギリいらないくらいの悩んで解けるバランスが最高だと思っています。基本は「簡単すぎず難しすぎず」ですが、ちょっと難しくてもいいくらいです。悩んで自分の力で解けて気持ちいいのがパズルゲームの魅力。
『オノゴロ物語』は難易度5段階中の3くらいで丁度良いです。簡単すぎず、解き方に気付けた時の気持ち良さがあります。
素晴らしいのはエリアがコンパクトな事と面倒な作業がない事です。
ダメなパズルゲームは移動や作業のダルさと無駄な複雑さがあります。仕掛けと仕掛けが遠くて移動がダルかったり、重いものをヨイショヨイショと時間をかけて運んだり、エリアを見ただけで滅入るような複雑さだったり。
『オノゴロ物語』は煩わしい操作がなくて快適で、長い移動や面倒な作業がなくてゲームプレイの密度が濃い。それを感じたのがプレイタイムです。10分以内にクリアしたと思っていても、クリア後のタイムが15分超えていたりします。集中してテキパキ作業していますから、実時間はアッという間に過ぎていました。
そしてルールの覚えさせ方も上手いです。文字で説明するのではなく、ゲームプレイしながら1つずつ自然とルールが頭に入っていきました。
ハルのキャラクター
VRはゲーム世界に入ったような感覚ですしキャラクターは目の前に本当に存在しているような感覚です。でも「キャラが生きている」かは別問題であり、そのキャラクターの命を感じるような事は少ないです。
ハルはキャラクターの命が感じられました。最初はアニメキャラらしいセリフをくすぐったいような気持ちで聞いていましたが、長旅の中でいろんな事を喋ってくれますので、どんどん親しみと愛着を覚えていく。そして本物の人との別れのように旅が終わる悲しみを味わえるのは素晴らしいです。
非VRゲームも含めて、ここまで1人のキャラクターとコミュニケーションを取るゲームは珍しいかと思います。VRゲームを多くプレイしていますが、コミュニケーションの魅力を味わえるゲームは少ない印象です。ゲームキャラクターと同じ世界にいて、非VRでは味わえない濃厚なコミュニケーションの魅力がVRにはあるのに、意外とそこは掘られてない印象があります。
あと日本語音声も最高です。VR世界で字幕を見るのは雰囲気を損ねますから、日本語音声は有難い。
難易度高めのボスバトル
ボスバトルの難易度が歯応えのあるアクションゲームとして抜群でした。後半は5回くらい死んでやっとクリアできるようなバランスであり、達成感は大きいです。
勝てそうになると死にゲーのボスを倒す時と同じように手が震えたりしますが、手が震えてエイムがズレるのはVRならではで面白かったです。
もちろんパズルの要素もあるボスバトルなのですが、死にゲーをやっているような感覚になりました。
ボリューム
クリアまで実時間で9~10時間くらいでした。3,740円(税込)のVRゲームとして良いボリュームであり、しかもダラダラした時間は少なくて密度の濃い9~10時間です。PS5では当たり前ではありますが、ロードも速くて快適です。
クリア後はチャプターセレクトが可能であり、★★★クリアと小結節点集めがやり込み要素になります。
ちなみにヘッドセットは有線で本当に良かったと思います。コントローラーの5~6時間のバッテリーすら気にしますから、ヘッドセットが無線で1~2時間でバッテリー切れとかだったら私にはキツいです。
気になったところ
3要素との相性
「これはダメ」というわかりやすい減点要素がないゲームですから、プレイヤーとの相性次第です。
このゲームは「パズル」「アクション」「コミュニケーション」の3要素で構成されており、上記したように各要素の質が高いです。個人的には3要素とも楽しめましたが、人によっては「パズルを楽しみたいのにアクションが難しすぎてツライ」「ハルとのコミュニケーションを楽しみたいのにアクションが難しくてツライ」「手に汗握るボスバトルを楽しみたいのにパズルが面倒」となるかもしれません。
特に難易度高めのボスバトルは人を選ぶかと思います。VR慣れしてアクションゲームもそこそこやれる私で丁度良い歯応えでしたから、VR慣れしていない人やアクションゲームが苦手な人には厳しそうです。そういう人へのフォローとして防御力が高くなるオプションはあります。でも操作自体はVRに慣れていないとかなり難しいと思います。
「VR慣れしていない人には理不尽に感じるかもしれない」と思いつつも、個人的にはこの難易度が素晴らしかったです。
小結節点集め
強いて言えば小結節点集めは気になったところです。これは各ステージにある収集物的な存在です。パズルに集中したいから小結節点を探して歩き回るのは面倒に感じるし、かと言って見逃しながら進めていくのもスッキリしないです。せめて1ステージに1個だったら良いバランスだったかもしれません。
小結節点を全て集めると別の結末が見られます。予想とは違う意外な驚きがありました。
良い余韻を残した
非VRゲームも含めて、久しぶりにクリア後の良い余韻に浸れました。楽しかった旅とせつない別れの余韻です。ゲーム内のキャラクターとの別れでせつなくなれる事に感動も覚えます。VRゲームの体験の濃さを実感しました。
心にトゲが刺さったままで、いつかまたふと思い出すゲームになりそうです。「元気にしてるかな?」と思えちゃいそうなほどキャラクターが生きていました。
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