PSVR2はアイトラッキングに対応しています。この事が信じられないほど凄い事だというのはあまり認知されていない印象。SIEはVRゲーム機として非常に重要な判断をした。
アイトラッキング対応状況
機器 | 発売日 | 価格 | アイトラ |
---|---|---|---|
PICO 4 | 2022年10月7日 | 49,000円 128GB 59,400円 256GB |
非対応 |
Meta Quest 2 | 2020年10月13日 | 59,400円 128GB 74,400円 256GB |
非対応 |
VIVE Flow | 2021年11月18日 | 59,990円 | 非対応 |
PSVR2 | 2023年2月22日 | 74,980円 | 対応 |
PICO 4 Enterprise | 2023年1月~ | 141,900円 | 対応 |
arpara Gaming Kit | 2022年6月21日 | 158,800円 | 非対応 |
Valve Index VRキット | 2019年6月28日 | 165,980円 | 非対応 |
VIVE XR Elite | 2023年2月~ | 179,000円 | 非対応 |
VIVE Pro 2 | 2021年10月15日 | 209,000円 | 非対応 |
VIVE Pro Eye | 2019年 6月28日 | 209,000円 | 対応 |
Meta Quest Pro | 2022年10月26日 | 226,800円 | 対応 |
MeganeX | 2023年3月~ | 249,900円 | 非対応 |
↑を見れば74,980円のPSVR2がアイトラッキングに対応しているのは異常とも思える。その上の141,900円のPICO 4 Enterpriseですら、アイトラッキング対応機器としては価格破壊に感じる安さなのに。
ちなみにVIVE XR Eliteでは後付けのフェイストラッカーやアイトラッカーパーツの発売が予定されています。
フォビエートレンダリング+アイトラッキング
PSVR2が背伸びしてアイトラッキングを搭載しても使わない機能なら意味がないですが、「フォビエートレンダリング+アイトラッキング」という重要な用途があり、これがあるかないかではVRゲーム機としてパフォーマンスに非常に大きな差があります。無理をしてでもPSVR2がアイトラッキングに対応した意味は大きいし、素晴らしい判断。
フォビエートレンダリング+アイトラッキングは、プレイヤーが見ている部分だけに高品質なレンダリングを行う技術です。
見えていない部分にマシンパワーを使わない事により、体感ではハードスペック以上の高品質なグラフィックを得られる。
Unity上ではレンダリングパフォーマンスが3.6倍になったとのこと。
ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社の江端優介氏は「これらの数値は本当に素晴らしい」とも言っております。
私のPCのGPUはRTX 3070で演算性能は20TFLOPS、PS5は10TFLOPSです。RTX 3070+アイトラッキング無しよりも、PSVR2+フォビエートレンダリング+アイトラッキングの方が、体感としてはグラフィック品質が良く感じる可能性もある。GPU演算性能以外の部分も含めて。
従来は考えられなかったグラフィックを向上させるチートみたいな機能です。
グラフィックだけでなく、効率良く余らせたGPUパワーをフレームレートの向上に繋げる事も可能です。
PS4+PSVRは低品質なグラフィックが問題でしたが、PS5+PSVR2では大幅に改善されている。
単純にGPUの演算性能がPS4:1.84TFLOPS→PS5:10.3TFLOPSとアップしているだけじゃなく、レンダリングパフォーマンスが最大3.6倍のフォビエートレンダリング+アイトラッキングも加わって、驚異的なインフレ状態。
アイトラッキングが標準搭載
高級VRヘッドセットではアイトラッキングが搭載されていますけど、PS5+PSVR2とのコストパフォーマンスの差は大きすぎます。
コストパフォーマンス以外でも、PS5+PSVR2ではプラットフォームの全ユーザーにアイトラッキングが標準搭載されているのも大きな差となる。
例えばMeta Quest Proがアイトラッキングに対応していても、Meta Questストアでアイトラッキング前提のゲームは作りにくいです。大半のユーザーはアイトラッキング非対応のMeta Quest 2ですから、基準はそっちに合わせる必要がある。
PSVR2が無理してでもアイトラッキングを標準搭載にしたのは素晴らしいです。PSストアではアイトラッキング前提のゲームが作れますから、今までにないVRゲームのアイデアが生まれる可能性が高い。
コントローラーの時も言いましたけど「100%付属」でなければ意味が薄くなります。もし今回は赤字になるからアイトラッキングは見送って後でPSVR2 Proとかで実装していたら、それはあまり意味がないです。ゲーム作りの基準はアイトラッキング非対応のユーザーになる。
PS5+PSVR2はアイトラッキングが100%付属ですから、Meta QuestストアでもSteamストアでも出しにくいであろうアイトラッキング前提のゲームがPSストアでは出せる。
VRゲームに興味を持った人は新しい体験を求める気持ちも強いでしょうから、アイトラッキングをゲームに組み込めるPSVR2のゲーム体験は素晴らしいものになりそうな期待が持てます。
アイトラッキング使用例
- Puzzling Places
「視線トラッキングによるピース選択の改善」とあります。従来のVRゲームはトラッキングのズレのようなものを感じる場合も多く、取りたい物が取れないこともあった。アイトラッキングで見ている物を認識する事で、それは改善できそうです。 - Rez Infinite
「視線トラッキング(敵を見るだけで追跡し照準を合わせられる機能)」とあります。左スティックやヘッドセットの向きではなく、視線で照準を合わせられる。 - テトリス エフェクト・コネクテッド
「目を閉じてから開くことで、ゾーンに入ることができます」とあります。中二病的な覚醒っぽくて面白い。 - The Dark Pictures: Switchback VR
血まみれのマネキンがいる部屋でまばたきすると、目を開けた時にマネキンのポーズや位置が変わっていたり、マネキンの数が増えている仕掛けがあります。
今度、どういうゲームが出てくるか楽しみです。
でもVitaの背面タッチやデュアルショック4のスライド操作のように「なくても良かったんじゃ…?」という程度の可能性だってあります。だからこそ全てのゲームに関わる画質におけるフォビエートレンダリング+アイトラッキングの存在は大きい。
神判断
$549.99・74,980円のPSVR2がアイトラッキングに対応しているのは本当に驚きですし、グラフィックの向上や新しいゲーム体験としての大きな意味があります。
PSVR2の話題を見ていると「Meta Quest 2でいいじゃん」「PICO 4でいいじゃん」という声も多いですが、PSVR2にはOLED(有機EL)、HDR、視野角110度、アイトラッキング、ハプティックフィードバック、超高速ロード、ソフト、PS5との接続、コミュニティらに他機種との違いがあり、中でもアイトラッキングの存在は大きな差かと思います。
ソーシャルVRだったり動画視聴VRであれば、アイトラッキングはなくても問題ないかと思います。PSVR2はVRゲーム機としてアイトラッキングが必要であると判断したのでしょう。他のVR機器の価格からしてアイトラッキング搭載は高コストであるのも予想できますし、逆ザヤ覚悟での搭載かと思う。
SIEの中の誰が推したのかはわからないが神判断!普段はあまり「神」とか使わないですが、これは本当に凄い判断だと思う。PS5の性能で動かせるから今回は無理して高コストなアイトラッキングを搭載する必要はないのでは?という考えが普通かと思うのに、このチャレンジは熱い。ここをケチらないどころか無理してでも投資する姿勢で良かった。最終的に承認したであろうジム・ライアンもナイスでした。過去にジム・ライアンをせせこましい印象と言ったのは謝罪します。申し訳ありませんでした。
PSVR2はコントローラー別売りで安く見せる手法も使ってないし、必要な機能を無理してでも載せている印象もあり、とても好印象です。円安のピークに価格発表となり、日本での販売価格が高くなったのだけが不運です。PS5ローンチ時は49,980円=$499でしたから、その感覚のままなら54,980円=$549.99だったんですよね。
でもアイトラッキング搭載は贅沢すぎて、円安で価格が上がった分を気持ち的には消してくれる。
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