PSVR2の販売台数における失敗の基準を考えました。が、それより重要なのは長期的な継続。
新しいゲーム機器が発売されると「これは売れる・売れない」という話題も多くなりますが、「売れない!」と主張する人に「何万台しか売れませんか?」と訊いてサッと数字が出てくるか?という話です。
売れる・売れないは数字の話であるはずなのに、具体的に台数で語れている人は多くない印象です。
500万台のPSVR2と1,500万台のMeta Quest 2
VRゲーム機器の売上の基準はわかりやすいです。大ヒットしたと言える製品が2つしかないですからね。
初代PSVR: 500万台
まずVR元年の2016に発売された初代PSVR。
これはSIEの公式発表で2019年12月末までに500万台売れています。
Meta Quest 2: 1,500万台
そしてその後、2020年10月に発売されたMeta Quest 2。
これは販売台数は非公表です。
米国の調査会社であるIDCの推測だと2022年6月時点で1,480万台。あくまで推測なので大幅にズレている可能性もありますが、かなり少なく見積もっても1,000万台は超えているでしょうし、VR機器として最大のヒット製品なのは間違いないです。
Meta Quest 2を真似てはいけない
VR市場を独占状態のMeta Quest 2ですが、このやり方はSIEにとって正解とは言えません。その理由は明確で、Meta PlatformsのメタバースAR/VR事業は数兆円規模の赤字を出す事業だから。
メタバース事業は2023年「赤字をさらに拡大する」と予告…メタが四半期決算を発表 | Business Insider Japan
Facebookが2021年10月28日に社名をMeta Platformsに変更し、社運をかけてメタバースAR/VR事業に取り組んでいます。
社名を変更した1年前から見て、時価総額は最大で76兆円が消失しており、順調とは言えない。
わずか1年で時価総額76兆円が消失のメタ 「脱・Facebook」の大きすぎた代償 | ITmedia ビジネスオンライン
元Facebookが社運をかけて数兆円規模の莫大な投資をした結果、キーデバイスであるMeta Quest 2が1,500~2,000万台では成功と言えないどころか、かなり厳しい結果にも思える。今後、大きく花開く可能性はありますが、現時点では厳しい状況が続いています。
ただ、これに関してゲームハード戦争のノリで赤字を煽ってはいけません。PSVR2にとってMeta Platformsは感謝しかない存在。初代PSVRが廃れた後のVR業界を牽引し、PSVR2のローンチタイトルが多いのはMeta Platformsのおかげです。『Beat Saber』の開発会社はMeta Platformsに買収されましたが、PSVR2にも『Beat Saber』をリリースしてくれます。
PSVR2はMeta Platformsの莫大な投資の恩恵を受けているし、今後も受けます。
SIEの場合、元も子もないことを言ってしまえば、PSVR2が1台も売れなくてもPS5とPS Plusの牙城は崩れず安泰です。PSVR2に会社が傾くほどの投資をする理由もないです。
過去記事で「最初は動画・PC・ソーシャル向けにしたくない理由」に関して書きましたが、まずはVRゲームで利益が出る構造を作るという理由もこれに繋がる。赤字でVRヘッドセットをバラ撒くようなやり方はSIEにとっての正解ではない。
PSVR2でもDMM.com(Fanza)アプリのVR対応は半年後くらい? | PSVR2非公式ブログ
初代PSVRの販売台数推移
堅実に利益を出すプラットフォームにすることが最重要ですが、前機種よりも販売台数が減ったら「失敗」の印象は拭えない。PSVR2の販売台数としての失敗の基準があるとしたら、初代PSVRの販売台数になるでしょう。
- 2016年10月13日: PSVR発売
- 2016年10月16日: 国内51,644台
ここだけ日本国内のデータ。これ以外は全世界のデータ。
PSVRは周辺機器ですから、基本的にはゲームハード販売台数は集計されません。でもメディアクリエイトが特例的に初週だけ数字を出していました。
「PlayStation VR」の初週販売数は5万1000台。「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」などの新作もランクインした「週間販売ランキング+」 | 4Gamer - 2017年2月19日: 91万5,000台販売
PSVRの累計出荷台数は91.5万台 CEOが明かす – MoguLive - 2017年6月上旬: 100万台
PSVR、全世界販売台数100万台突破 E3での新作発表に期待 – MoguLive - 2017年12月3日: 200万台
「プレイステーション ヴィーアール」世界累計実売200万台達成 - 2018年8月16日: 300万台
Celebrating 3 Million PS VR Systems Sold | PlayStation.Blog - 2019年3月3日: 420万台
PlayStation®VR:2019年の春~夏にリリース予定のゲームをご紹介! | PlayStation.Blog 日本語 - 2019年12月末時点: 500万台
PlayStation®VR発売5周年を迎えて | SIE Blog (Japan)
国内初週51,644台
メディアクリエイトの集計によると、初代PSVRの初週販売台数は51,644台でした。
初週どうこうは、あまり重要ではないとも思うけど、一応の基準としての数字ではあります。
8ヶ月で100万台
最初の大台は100万台。PSVRは2016年10月13日に発売されて、2017年6月に100万台突破が発表されました。約8ヶ月で100万台です。
PSVR2の100万台突破ペースがどれくらいになるかは注目です。
2年で360万台
イギリスの調査会社Omdia(オムディア)は、PSVR2が2年間で360万台を販売すると予測しました。
初代PSVRが1年10ヶ月で300万台ですから、それより「ちょっと上」程度の予測ですね。さすが調査会社だけあり、かなり現実味のある予測。
低く見積もられなかったので、現時点でのPSVR2の印象は悪くないのでしょう。
3年2ヶ月で500万台
最も重要な基準は初代PSVRの記録した500万台。
初代PSVRは3年2ヶ月で500万台でしたが、このペースは意識しなくてもいいと思います。
初代PSVRの最大級の問題・不満は3~4年で廃れたことであり、PSVR2の最重要使命は5年以上の安定した盛り上がり。600万台販売しても4年で廃れたら意味がないし、3年2ヶ月時点で400万台だったとしても、5年で600万台に到達すればいい。
初動より継続
過去記事にも書きましたが、PSVR2は息が長いハードになることが大事。
PSVR2は息が長くなるであろう理由 | PSVR2非公式ブログ
PSVR2はマイナスからのスタートだと思っています。↑の記事に「PSVRは3~4年程度で息切れしていて早期に廃れた印象があり、PSVR2もそうなると予想している人が多いかと思います」とも書いており、SIEがPSVRを早期に諦めちゃったような印象の悪さは残っている。
そして初代PSVRは酔いやすかった。VR=酔いという不安を抱えた人も少なくないでしょう。
VR酔いしにくさが期待できるPSVR2 | PSVR2非公式ブログ
さらに最悪なのは、急激な為替の変動があり、円安のピークに価格が発表されたこと。これは不運でした。
ただ、円安ドル高ですから北米だと影響はなく、$549.99です。カメラとコントローラーが別売りだった初代PSVRよりも安いと言える。
北米でPSVR2がPSVRより安いという話 | PSVR2非公式ブログ
「74,980円で売れるわけがない」と言うのは納得できますが、あくまで日本限定の話。PS5の販売割合で見れば日本は7%台ですから、PSVR2の世界全体での販売台数に大きな影響は与えない。日本の価格だけを見てPSVR2が売れないと言うのは視野の狭い見方になります。
「またSIEはすぐVRを諦めるだろ」「コンテンツがないだろ」「酔うだろ」「高い」などなどでPSVR2はマイナスからのスタートだと思う。
PSVR2に強い魅力があるとして、長期的に継続してそれを少しずつ知ってもらい、信頼回復の必要があると言える。だから3年2ヶ月で500万台を達成するよりも、5年しっかり力を入れることのほうが大事。
初動は伸び悩んでも、いずれ価格改定もあるでしょうから、中盤以降にグンと伸びる展開にもできるかと思う。
ソニーは経営方針説明会で「ソニーはメタバースとモビリティで成長する」と言っており、PSVR2に関して「仮想空間に入り込むためのキーデバイス」とも言っておりました。ソニーのメタバース事業がどういう展開を見せるかも気になるところですね。
ソニーはメタバースとモビリティで成長する。新経営方針 – Impress Watc
かなり先の話をすれば、初代PSVRと違ってPSVR2はトラッキング面とコントローラー面で長期的に使えるであろう仕様ですから、2027年に出るであろうPS6にも問題なく使えると思うし、2030年に出るかもしれないPSVR3の後方互換もいける可能性が高いでしょう。
販売台数的には一応初代PSVRを超えたいところですが、なんにせよPSVR2は3~4年で廃れない事が最重要です。継続することで結果もついて来るでしょうし、初代PSVRで失った信頼を回復してPSVR3にも繋げたいところでしょう。
販売台数における失敗の基準として書きましたが、販売台数としての成功の基準はないです。赤字でVRヘッドセットをバラ撒いて1,000万台到達してもVRゲームが売れないと成功とは言えないし、3~4年で廃れても成功とは言えない。
結果は3年後や5年後なので先の話、とりあえずPSVR2の発売が近づいて楽しみです。
コメント
初めて記事を読ませて頂きましたが、もう少し文体を意識して書かれた方が良いように感じました。ですます調の部分とそうでない部分が混在しているだけで文章の説得力はグッと下がってしまいますので。
おめぇは学校の先生かよ
ファミ通で初週台数が非公開とは思いませんでしたが、HorizonがDLのみで6027本なので10000台も売れてなさそうですね。
この数字じゃ2年で放棄しそうなレベルなので今後のPSVR2は心配ですね。
スクエニやバンナム、フロムもスルーですし。
見出しが「失敗の基準」なのに最後まで読んでも
具体的な基準を明示していない。
5年間頑張るとかみたいなふんわりした事いわれても
ハード台数にこだわらないというならゲームの販売ソフトの金額でも
いいのに
販売本数にしないのはたとえば100円みたいな値付けでセールでばらまく
と意味のない数字が水増しできてしまうから
2023年3月末時点で27万台(世界全体)とのことですが。そもそもPS5で戦略ミスって売れていないのでPSVR2が売れる訳がないと個人的には思います。
いくら何でもPSVR2は失敗と認めても良かろう
先日ソニーの決算が出ましたがPSVR2は一言も言及がなくてビックリしましたね。
まさか発売してもう放棄することはないと思いますがPS blogもそこまで強く宣伝をしていないので正直厳しいと思います。
発売して3か月で、これでは・・・・。
Thank you very much for sharing, I learned a lot from your article. Very cool. Thanks. nimabi
で、完璧に絶対的にPSVR2は失敗したでよろしいか??
そろそろ答え合わせお願いします(笑)