『Vertigo 2』の開発者コメントで思うPSVR2をスタンドアローンにしなかった正解

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『Vertigo 2』の開発者がPSVR2版を望んでいるようです。PSVR2をスタンドアローンにしなかったのは正解だと改めて思います。

『Vertigo 2』とは?

2023年3月31日にSteamでリリースされたばかりのVR FPSです。

Vertigo 2 – Launch Trailer

Steamレビューでは97%が好評。

大絶賛されており、『Half-Life: Alyx』『Boneworks』に続く、A級VR FPSとして数えられるかもしれません。『Half-Life: Alyx』は別格ですけどね。

開発者がPSVR2版を検討中

開発者のZach Tsiakalis-Brownは22歳のVRゲーム開発者です。UploadVRがインタビューしており、

『Vertigo 2』のPSVR2版には本当に興味がある。ソニーとはパートナーシップを結ぶことについて少し話をした。だから具体的な計画はないが、そうなってほしいし、そうなる可能性は絶対にあると思う。
Vertigo 2 PSVR 2 Release Possible, Developer ‘Gently Turned Down’ Meta | UploadVR

と述べています。社交辞令的な「検討しています」ではなく、かなり前向きに感じます。PSVR2版に対して前向きに感じられるのは、Meta Questでのリリースは否定しているからでもあります。

何人かのMetaの人たちが手を差し伸べてくれて、”ヘイ、会話に興味ある?”というようなことを言われたことがあります。私はMetaとは仕事をしないことにしているので、やんわりと断っています。
私はPC VRの方が好きなのです。モバイルVRのビジョンを縮小するのは嫌だし、それがPC専用にした理由のひとつです。
(中略)
断固としたモバイルVR嫌いではない、『Half-Life: Alyx』や『Vertigo 2』のような体験はMeta Questでスタンドアローン動作できないが、スタンドアローンプラットフォームには魅力的で良いVR体験がたくさんある。
Vertigo 2 PSVR 2 Release Possible, Developer ‘Gently Turned Down’ Meta | UploadVR

PSVR2はスタンドアローンじゃなくて正解

私はPSVR2の初報からスタンドアローンは反対でした。

Oculus Quest 2はスタンドアロンと言っても、スタンドアロンでは性能がかなり低いのでソフトもクオリティが低くなる。言ってしまえば携帯ゲーム機のクオリティにしかならない。そこはPS5と繋がるPSVR2が圧倒できる部分かと思います。
PSVR2をスタンドアロンにしてしまうと、通常のPS5と携帯仕様のPSVR2という、かなり性能の低い携帯機との縦マルチ状態になり、ソフトのクオリティで足を引っ張られるのが予想できる。
PSVR2が正式発表

Zach Tsiakalis-Brownの「『Half-Life: Alyx』や『Vertigo 2』のような体験はMeta Questでスタンドアローン動作できない」というコメントを見て、改めてPSVR2をスタンドアローンにしなくて正解だったと思います。

PSVR2のソフト発売スケジュールを見ると、大半がMeta Questとのマルチです。でもPSVR2版は大幅に強化(エンハンスド)されるから魅力があります。
もしPSVR2がスタンドアローンだったなら、Meta Questと同等のクオリティのゲームが遅れて発売されるだけです。
PSVR2発売前からスタンドアローン型は反対でしたけど、その気持ちはさらに強くなっています。このソフト発売スケジュールからミドルスペック向け以上のゲームが消えて、残りの全てが携帯機のクオリティで発売されるとしたら絶望しかありません。
PSVR2ソフトスケジュール(2023年4月23日)

Zach Tsiakalis-Brownが言う『Half-Life: Alyx』や『Vertigo 2』のようなゲームは出せませんし、『バイオハザード ヴィレッジ』『バイオハザード RE:4 VRモード』『グランツーリスモ7』『ノーマンズスカイ』のようなPS5ありきなVR対応ゲームもスタンドアローン版=携帯機版を作り直すのは現実的ではありません。PSVR2をスタンドアローン型にしてしまったら、PS5のA~AAA級の非VRゲームをVR対応させる道も絶たれてしまいます。

たまにPSVR2をスタンドアローンにするべきだったという声を見ますが、Meta Questのゲームが同等のクオリティで遅れてリリースされるだけのスタンドアローン型PSVR2が本当に欲しいのかな?と疑問しかありません。
唯一、当時スタンドアローン型を指示する理由があるとすれば、Meta Quest 2ではリリースされないPSVR2向けの小規模なVRゲームがバンバン出ることですが、それはもうほぼないのが見えており、非VR対応でPCとのマルチですけど『ファンタビジョン 202X』くらいです。SIE側というかPS側が、そこに力を入れる理由もないですしね。「スタンドアローン型にしていれば独自のソフトをバンバン出していたはずだ」とは思えません。

今のPSVR2はPS5のみと繋がっており最適化しやすく、Meta Quest 2とのマルチタイトルが安定して供給され、『バイオハザード ヴィレッジ』『バイオハザード RE:4 VRモード』『グランツーリスモ7』『ノーマンズスカイ』のようなPS5→PSVR2対応タイトルもあり、『Kayak VR: Mirage』『Vertigo 2』のようなPCVRタイトルも引っ張ってこれる。良いポジションを取っていると思います。数兆円規模の赤字を出して続けているMeta Platformsのやり方を後追いで真似するのではなく、違うポジションを取る判断は良いです。しかも中国ByteDanceのPico 4がMeta Quest 2のやり方に似ていますから、3番手以降で似たようなことをやっても勝ち目はないし、つまらないです。
PS5→PSVR2対応とPCVR→PSVR2版のタイトルを切り捨てたスタンドアローン型PSVR2が魅力的に見えるなら、Meta Quest 2を選ぶのが正解でしょう。

Zach Tsiakalis-Brownも「スタンドアローンプラットフォームには魅力的で良いVR体験がたくさんある」と言っており、Meta Quest 2やPico 4はそれぞれ魅力があります。あくまでもPSVR2が後発で真似しても意味がないというかつまらないという話です。
初代PSVR2が500万台売れて最初のVRのヒット製品になった後、それを真似なかったMeta Quest 2の成功もあります。

なんにせよ『Vertigo 2』の開発者がPSVR2版に前向きですから、是非とも実現してほしいところです。日本語はないんですけどね。

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