VR酔いしにくさが期待できるPSVR2

PSVR2(発売前)

PSVR2は初代PSVRよりも酔いにくさが期待できます。4つのポイントをまとめました。

初代PSVRよりも酔いにくさが期待できるPSVR2

VR酔いとは?

VR酔いとは、VRゲームをプレイ中やVR動画を視聴中に、めまいや吐き気や不快感などを感じることです。この症状は乗り物酔いにも似ています。

VR酔いのメカニズムは完全に解明されたわけではありません。有名な説で個人的にも納得できる説が「感覚不一致説」です。

感覚不一致説とは、自分が今実際に知覚している感覚と、過去の経験から予測される感覚との矛盾、それが原因で酔いが起きるというものです。

ジェットコースターのVR動画を見ている時、過去の経験から予測される感覚としては「体が揺れるはず」と思いますが、自分が今実際に知覚している感覚としては「体が揺れていない」です。これが「感覚不一致」状態。脳がバグって気持ち悪くなる感じ。

VRゲームでよくあるパターンは、自分は前を見て棒立ちしている状態で、スティックでカメラを横に動かすと、自分は前を見ているはずなのに視界だけが横に移動するという「感覚不一致」になる。これが眩暈のような気持ち悪さ。

今にして思えば、初代PSVRはVR酔いしやすいポイントが多かったです。PSVR2が初代PSVRと比較して、酔いにくいポイントは4つあります。

    1. 映像の品質が改善された
    2. ハプティックフィードバック(触覚)の搭載
    3. IPD(瞳孔間距離)調整の精度向上
    4. VRゲームのVR酔いの研究

映像の品質が改善された

PSVRで酔いやすいゲームの特徴の1つは、グラフィックが粗くてフレームレートが不安定なゲームでした。
解像度が低いだけでなく、映像がチラチラユラユラして不安定なゲームも多かったです。粗くて不安定な映像は「感覚不一致」状態を引き起こしやすい。
フレームレートが低いと、頭の動きと視界の「感覚不一致」で酔います。

PSVR2では、PS4(1.84TFLOPS)からPS5(10.3TFLOPS)への大幅なマシンパワーアップだけでなく、アイトラッキング+フォビエートレンダリングによって、レンダリングパフォーマンスが最大3.6倍になるなどして高解像度化を実現しました。GPUの負担が軽くできる分、フレームレートの向上にも繋げられます。

とても単純な話で、初代PSVRは画質が粗く、不安定なフレームレートで酔った。PSVR2は高画質でフレームレ―トも安定して、酔いにくくなるでしょうということ。

映像品質にこだわれるのは、スタンドアロン型のVR機器との大きな違いでもある。

ハプティックフィードバック(触覚)の搭載

PSVR2にはヘッドセットとコントローラーの両方にハプティックフィードバック(触覚)が搭載されています。これは視覚でも聴覚でもなく触覚です。PSVRにはなかった触覚が加わる事により、「感覚不一致」を引き起こしにくくできる。

『バイオハザード ヴィレッジ』のディレクターである高原和啓氏がそれを語っていました。

PSVR2の対応にあたって、頭の振動を効果的に使って、フレーム単位で、どのくらいの強さでどのタイミングで振動させるかなどこだわって作っていて、その振動があるバージョンとないバージョンで酔いの感覚は違います。
「バイオ」的ホラーVR体験の集大成! PSVR2版「バイオハザード ヴィレッジ」開発者インタビュー | GAME Watch

Switchback VRでは、

ハプティックフィードバックにより、ジェットコースターの動きをレールの上にいるように感じることができたり、風や雨を手に感じることができます

とのことですから、ジェットコースターで視界は揺れているのに体が揺れを感じない問題に関しても、PSVR2ではハプティックフィードバック(触覚)によってジェットコースターのレールの揺れや曲がり具合を感じられますので、「感覚不一致」状態を引き起こしにくくなると考えられる。

PSVR2はヘッドセットとコントローラーのハプティックフィードバックにより、酔いにくいVRゲーム機としての優位性があるかと思います。

IPD(瞳孔間距離)調整の精度向上

IPD(瞳孔間距離)とは、ざっくり言えば目と目の間隔です。人によって目が離れていたり近かったりしますから、VRヘッドセットがそれに合わせる必要があります。

VRヘッドセットのIPD(瞳孔間距離)調整が悪いと、

  • 視界が少しぼやける
  • すぐに疲れる
  • 見え方が歪んで見える

という状態になりやすく、VR酔いしやすくなります。

初代PSVRでは物理的なIPD(瞳孔間距離)調整は不可能でしたが、PSVR2はIPD(瞳孔間距離)をゴーグル天面左側にあるダイヤルで調整できるようになりました。

初代PSVRにもソフト側のIPD(瞳孔間距離)調整機能はありましたが、初代PSVRの時代はIPDの問題がそこまで重要視されていた印象がなく、完璧と言えるほどに調整できていた人は多くないんじゃないでしょうか。実際、VRで酔いやすかった人はIPD調整にこだわれていたのかな?これが大きな原因だったかもしれない。

PSVR2はハード側で物理的なIPD(瞳孔間距離)調整ができるうえに、ソフト側でも目の位置を画面上で確認しながら合わせられるようになって調整の精度が向上しました。アイトラッキングがあるからこその高い精度が実現した。
過去記事でPSVR2にアイトラッキングが搭載されているのは驚くべきことだと書きましたが、高精度のIPD調整がVR酔いへの効果が大きければ、なおさらアイトラッキング搭載は神判断。
PSVR2にアイトラッキングが搭載されているのは神判断と言える | PSVR2非公式ブログ

初代PSVRよりもIPD(瞳孔間距離)調整の精度が高まり、酔いにくさに繋がるでしょう。

VRゲームのVR酔いの研究

『バイオハザード ヴィレッジ』のディレクターである高原和啓氏が、

VR酔いに関する研究は進めていますし、『こういう時はこうすればVR酔いが軽減できるだろう』というアイデアは踏襲して折り込んでいます。
「バイオ」的ホラーVR体験の集大成! PSVR2版「バイオハザード ヴィレッジ」開発者インタビュー | GAME Watch

と語っております。

VRゲーム開発者がVR酔い対策の情報を公開していたりもして、開発者同士の情報共有もあります。
VR酔い対策について – フレームシンセシス

VR元年である2016年は手探り状態のVRゲームが多く、まともな酔い対策がされていないようなものも多数ありました。
今のVRゲームはVR酔いの研究が進んでおり、オプションも充実しています。初代PSVRのVRゲームよりも酔いにくいものが多いでしょう。

まとめ

    1. 映像の品質が改善された
    2. ハプティックフィードバック(触覚)の搭載
    3. IPD(瞳孔間距離)調整の精度向上
    4. VRゲームのVR酔いの研究

という事で、PSVR2は初代PSVRよりも酔いにくくなっているのが期待できます。特にハプティックフィードバック(触覚)は他のVR機器との大きな差になるでしょう。
そして購入後の初期設定であるIPD(瞳孔間距離)調整も完璧にやりたいところですね。

とは言っても、VRゲーム初心者は最初は酔うはずですし、最終的には慣れるしかない。私も最初は酔いましたが、今は完全に慣れてまったく問題ありません。

「感覚不一致説」を知っているだけでも酔いにくさに繋がるかもしれない。訳がわからず酔うのとは違い、「これがこうで感覚不一致が起こっていた」と自分の頭で理解できていれば慣れやすいのではないでしょうか。
VRゲームに慣れて酔わなくなるとは「過去の経験から予測される感覚」がVRゲーム用にアップデートされるからかと思います。

いや~、調べれば調べるほどPSVR2は考え抜かれて生まれた製品だと思いました。アイトラッキングは前回の記事で驚きは出尽くしたかと思いきや、高精度のIPD調整で酔い低減の期待もできる。ヘッドセットのハプティックフィードバックは体感ゲームの面白さの味付けかと思いきや、これも酔い低減への期待ができる。VRゲーム機として非常に重要なVR酔いへの対策も良いです。

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