CEROを通過せず日本版が発売中止になった『The Callisto Protocol(カリストプロトコル)』ですが、北米版に日本語字幕と日本語音声が収録されています。プラチナトロフィー獲得しましたが、微妙なゲームでした。
日本語対応
デイワンパッチ後のVer1.005.000~1.006.000で日本語音声と日本語字幕を確認。
日本語音声のローカライズは良いですが、字幕を表示すると字幕通りには喋っていないし、フォントは中華フォントです。
案内板なども日本語化されているのは見やすい。ハミ出てたりもしますが。
150人ほどのSIEスタッフが開発協力
開発元はStriking Distance Studiosであり、PS5/PS4/Xbox/PCのマルチプラットフォームですが、『The Last of Us』の制作で知られるPlayStation Studios Visual Artsがモーションキャプチャスタジオを貸与し、映像製作技術などで多大な貢献をしたとのこと。
https://twitter.com/MichaelMumbauer/status/1592654249501917184
SIEのマレーシアのチームからの派遣もあり、合計でSIEのスタッフが150人ほど参加する大規模な協力となったようです。
Dual Senseの機能も活かしており、通気口を這いつくばって移動する時の鉄の振動や擦れ方、ハシゴや飛び下りの振動、イベントムービーに合わせた振動などなどハプティックフィードバックが活用されている。
銃のトリガーや近接攻撃の重さとビリビリもアダプティブトリガーで感じられる。
開発はStriking Distance Studios
Striking Distance StudiosはKRAFTONが抱えるスタジオです。
KRAFTONは複数の独立したスタジオで構成されています。『PUBG』のPUBG STUDIOSと『TERA』のBLUEHOLE STUDIOもKRAFTON。
開発元のStriking Distance Studiosは、PUBG Corporation(現PUBG STUDIOS)内のスタジオとして設立されました。
CEOはグレン・スコフィールド。『Dead Space』の生みの親であり、『Call of Duty』シリーズでは『ブラックオプス』や『ワールドウォーII』など4作の総合プロデューサーを務めた大物であります。
そもそもなんでPUBG Corporation(現PUBG STUDIOS)内のスタジオとして設立されたかというと、元々は『PUBG』の物語世界を広げるためのシングルプレイゲームを作る予定だったから。しかし「このゲームは独自の物語として成長し、小さなノードは残っているものの、もはやPUBGとは関係がない」とのこと。
PUBGのスピンオフとして売るより、『Dead Space』の生みの親が作る新規IPとして売ったほうが注目されそうですしね。
KRAFTONが抱えるスタジオということで、PlayStation Studios Visual Artsが協力したといっても買収が視野に入っているわけではなさそうです。
KRAFTONは2022年11月にNeon Giantを買収を発表していますし、昨年はUnknown Worlds Entertainmentを買収している。積極的にスタジオを強化していますからStriking Distance Studiosが離れる可能性は低いと思われます。
65点
Chapter 8まであるほぼ1本道のサバイバルホラーゲーム。
ほぼ1本道の中でたまに寄り道があってアイテムがあるという具合。
パズル要素は無いに等しい。
セーブデータの時間だと1周目で8時間台でしたが、実時間では10時間以上かかっているかもしれない。
正直、「ここが面白かった」という部分が感じにくいゲームでした。『Dead Space』的な雰囲気を愛せないと難しい印象。
後半になれば面白くなるかもという気持ちで最後までクリアしましたが、雰囲気以外の部分はゲームとして最後まで微妙な出来。
戦闘が多いゲームですが近接戦闘がメインで中盤以降は単調さを感じた。敵の攻撃モーション中に左スティックを左or右に倒すと回避。回避からの反撃が基本となる。敵は近づくと必ず攻撃してきますから、左スティックを左右にガチャガチャやっていれば回避できる。敵が近づいたら左スティックを左右にガチャガチャやりながら待って回避→反撃→ガチャガチャ回避→反撃…1対1の戦闘はこれで問題ナシ。敵は連続攻撃する事も多いですから最大で3連続回避してから反撃する必要もある。反撃のタイミングを見極めるスキルは必要。
別パターンとして、目が見えない敵の背後からステルスキルもある。
つまらない戦闘だが敵の数は多めなのでダルい。複数の敵を相手にする場面も多く、見えにくさやわかりにくさで死ぬ事も多いですから、ややストレスが溜まる。
動きはかなりもっさり。まぁサバイバルホラーゲームだともっさりが普通でもありますね。
敵が近づいたらレバガチャ状態で回避できますから、華麗に回避しまくれるのは気持ちいいです。
ちなみにガードは左スティックを下。Ver1.005.000時点ではチュートリアルで左長押しだと表記されている間違いがありました。
ステージのデザインも良くない。
旧世代マルチでもあり、通気口や狭い通路をゆっくり歩いてロード時間を稼ぐデザインになっている。よくあるデザインですが、小分けにされすぎていて数が多すぎるようにも感じた。強制歩きの場面もあり、移動のテンポが悪い。
1周のプレイ時間は長くないので『バイオハザード』みたいに周回プレイでの魅力が欲しかったのに、この移動のテンポの悪さは大きなマイナス。
『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』もそうですが、早く旧世代マルチを切ってこういったロード待ちのないゲームをプレイしたいものです。
リトライ時のチェックポイントはテキトーに作ったようにも思える雑さ。アイテム入手前や強化前に戻ったりするし、どこまで戻ったかわかりにくい時もある。
手動セーブも同じ仕様。
インベントリの枠が少ない。バイオハザードのようにパズル性はないですから、枠を少なくする事に意味を感じにくかった。
欠陥のように思えるところもあり、武器を作成してしまうと各武器の弾でインベントリ枠が埋まる。武器は作成しないほうが良いと思えた。武器を作成しないことが正解のゲームって不格好なデザインに思えるし、武器の種類もちゃんと考えてないようなラインナップ。道中のアイテムに対してインベントリ枠が少なすぎるし、単に「インベントリ枠が少ない!」というよりゲームデザインが雑という印象が強くなる。
『バイオハザード7』や『バイオハザード RE:2』を周回プレイすると本当に考え抜かれて洗練されたアイテム配置とインベントリ枠だと感じましたが、『The Callisto Protocol』はプロの仕事じゃない感じ、素人が見様見真似でやったようなデザイン。
ちなみに中盤でスーツを入手するとインベントリの枠が増えます。
敵の配置も残念。戦うかスルーかという選択すらあまりなくて、盲目の敵以外は強制で戦闘になる場面が多いし、わかりやすいフラグを立てると敵がワーッと湧くパターンもセンスを感じない。こういうところも単調さを助長しているように思う。
盛り上がらないストーリー。
刑務所から脱出しつつ、バイオハザード(っぽいもの)の真実を探るようなストーリー。キャラクターに魅力がなくて『バイオハザード』にはなれないですし、取って付けたような薄っぺらい人間ドラマ。ストーリー展開や真実も盛り上がりに欠けた。ラストも締まらず、モヤモヤした余韻。
DLCでピリオドを打つのか、モヤモヤしたまま打ち切りか。
ホラーゲームとしての恐怖も感じにくかった。
1本道に近い道中を敵を倒しながら進むだけという感じ。「そこを歩く、という恐怖。」というようなものはなかった。殴り勝てる敵がワラワラ出ても恐怖を感じにくい。
ろくろ首っぽいクリーチャーの罠や物資箱の中に敵がいる罠も終盤は無駄なしつこさを感じてセンスを感じなかった。
オーディオログでストーリーを語るのは良いですが、メニュー画面でしか再生できないのは不便。移動しながら再生したい。
クリア後にチャプターセレクトやニューゲームプラスはない。
ニューゲームプラスは2023年2月7日に追加される予定とのこと。
「ここが面白かった」ではないが良かったところはある。
さすが日本で発売中止になるだけあり、ゴア表現はこだわりを感じた。主に主人公の死亡シーンですね。たしかにこれを修正しちゃうとゲームの大きな特徴が削がれるというのは納得。
グラフィックは良いです。
現行機の基準で見ればもうこれくらいは普通なのかもしれないですが、満足できるものです。
フォトモードもあります。
起動時のロードは速くて、タイトル画面から3秒ほど。
リトライ時のロードはそれよりやや遅くて不満。
QTEは面白くないですが、オプションでオフにできるのが嬉しい。
デフォルトだと30fpsですが、オプションでパフォーマンスモードをONにすると60fpsになります。
PCでの動作は問題を抱えているようですが、PS5版はパフォーマンスモードでほぼ60fpsで安定していた。処理が重くなる場面だと瞬間的に落ちる。クリアまでに1回だけエラー落ちがありました。それ以外のパフォーマンスに問題は感じなかった。
トロフィー的には最高難易度クリアと全オーディオログの収集だけが高い壁となります。
トロフィー設定自体は悪くないと思う。作業感はない。とは言えチャプターセレクトがありませんからオーディオログの取り逃しは再プレイが必要になる。
私は最高難易度クリアが最後に残ったのですが、クリア後のタイトル画面のオプションからゲーム難易度を最高に変えて新規ゲームを始めて、そのゲーム中にオプションを開いてクリア直前のデータをロードしてクリアしたら最高難易度クリアのトロフィーが獲得できました。『バイオショック』と同じ、最後だけ最高難易度クリアでトロフィー獲得できるパターンでした。しかもクリア直前データはラスボス後なので戦闘無しで移動するだけ。
タイミング的に1周目クリア時点がVer1.005.000で2周目を始めたのがVer1.006.000でしたから、たまたまそこで難易度トロフィーのフラグ管理がリセットされた可能性もある。
トロフィー詳細だと「厳重警戒」と表記されていますが、その名称の難易度はありません。3つの中の最高難易度クリアでOK。
メタスコアは74点(48件)となっています。久しぶりに個人的な評価と大幅な差が出たゲームですが、ユーザー評価は6.7点なので私とほぼ同じ。
評論家の評価としてはグラフィック、ムービー、サウンドで加点はあるかと思う。
近い時期に発売された『EVIL WEST』はメタスコア70点/ユーザースコア7.1点。『NEED FOR SPEED UNBOUND』はメタスコア80点/ユーザースコア7.6点ですから、『The Callisto Protocol』はメタスコアとユーザースコアの差が大きいという特徴があります。
サバイバルホラーゲームとしてそれなりの形にはなっているし、やや難しいゲームとして達成感のある難易度調整も悪くないです。ストレスを感じるダメージの受け方や死に方も多いですが。
「クソゲー」「ゴミ!」という感じじゃなくて、それなりに形になっているのはわかるけど「ここが面白かった」という部分を感じにくいゲームでした。そんなに悪くはないと思うけど、良さもない。だからこそ面白くなることを期待して最後までプレイできた。個人的には『Dead Space』っぽい雰囲気に対する愛が少ないから加点が少なかった感じですかね。
根本的な問題は戦闘の単調さかと思う。『Dead Space』との違いを見せようとして近接戦闘をメインにしてコンボからの銃撃など工夫も感じられるが、結局は失敗してしまっている。
1対1の戦闘向きのシステムでもあり、複数の敵を相手にした時はバランスが悪く感じる。
『Dead Space』っぽさのあるゲームですが、『Dead Space』との違いを意識した戦闘が大きな失敗になっている。戦闘さえ楽しいものならスコアも80点は超えたんじゃないかと思います。
『Dead Space』にも『バイオハザード RE:2』にもなれなかった微妙なサバイバルホラーゲームという印象。このジャンルが好きならメタスコア75点以上の魅力は感じられるかもしれない。『Dead Space』の生みの親らしい雰囲気はあるゲーム。
コメント
自分はPS4版ですが「最大限のセキュリティ」で最初から最後までクリアしましたがトロフィー貰えませんでした。
ここに書いてある方法も試しましたが結局貰えず。
モヤモヤが残るゲームとなりました。