旧世代感はあるがホラーアトラクションとして面白い『The Dark Pictures: Switchback VR』

レビュー・感想

『The Dark Pictures: Switchback VR』を2周した感想と概要。

良かったところ

わかりやすいVRホラーガンシューティング

シリーズ名は変わっておりますが『Until Dawn®: Rush of Blood』を踏襲しており、良いところも引き継いでおります。

非常にシンプルなゲームです。L2R2で銃撃、×もしくはコントローラーを振るとリロード。コントローラーの操作はこれのみです。
避けるアクションもあります。自分の頭を動かして障害物や敵の投擲物を避けます。

ジェットコースターっぽいトロッコに乗り、自動で進みながら撃ちまくって避けるゲーム。1プレイ目からわかりやすく、誰でも入りやすいゲームです。
ジェットコースター体験の面白さもあり、カーブではGを錯覚しそうになりますし、下り坂では体がフッと浮く感覚があります。これは酔いやすさに繋がるところはあると思います。
私自身は酔わないので仕様からの判断になりますが、酔い度は★★★☆☆といったところです。

絶品のホラーアトラクション体験

道中の仕掛けが細かく作られている印象を受けました。ボーッと退屈に進む場面が少なくて、ホラーアトラクションとして丁寧に怖がらせたり揺さぶってくる仕掛けが用意されています。
各ステージの個性もあり、「これはどういう状況なんだ?」「何があったんだ?」と想像させられるようなデザインにもなっています。


まばたきをしちゃいけない場面も楽しい体験でした。

怖がらせ方のメインはジャンプスケアです。静かな場面から急にワッ!と目の前に敵が出現したり、大きな音で驚かせます。回数が多いのでワンパターンに感じて慣れちゃうところもありますが、この古典的な驚かせ方を存分に味わえます。

そしてゾンビみたな敵がワラワラと押し寄せ、プレッシャーをかけられながら銃撃で押し返すのも怖さがあります。

上記したようにホラーアトラクションとして丁寧な仕掛けもありますし、3Dオーディオを活かした音による怖がらせ方もありますから、「そこを歩く、という恐怖。」みたいな移動中の恐怖感もあります。

易しめな難易度

難易度はストーリー(イージー)、サバイバル(ノーマル)、ナイトメア(ハード)の3種類。

サバイバル(ノーマル)でプレイしても他のゲームならイージーだと思える易しさでした。1周クリアまで銃撃戦での死亡は0回、進み方の判断ミスで2回死にました。ノーデスクリアも簡単だと思います。

この易しめの難易度は良い判断です。ダメージを受ける場面は多くて、死ぬと思いつつ死なない。ホラーは死にまくると死が軽くなって怖くなくなりますから、死にそうで死ななない映画の主人公のような体験は良いです。
ダメージを受けた後の回復も早く、主人公補正のような生命力があります。

難易度サバイバル(ノーマル)では、アクションゲームとしての歯応えや達成感よりも、ホラーアトラクションとしての体験を重視していると感じました。普通のアクションゲームなら初見ノーマル難易度でラスボスまで死なずにクリアできちゃうのは歯応えがなさすぎると感じるでしょうけど、このゲームは意図的にプレイヤーを死なせないようにバランス調整しているとも思いました。その狙い通り、ホラーアトラクションとしての体験の面白さを堪能できました。

ボリューム

難易度サバイバル(ノーマル)でプレイして1周目は3時間20分でした。このジャンルなら丁度良いんじゃないかなと思います。長くしてもダレそうですからね。

分岐が多くて2周目は違うルートを進んでみようという気持ちにもなります。
ホラー要素よりも撃ちまくるガンシューティング要素が好きなので、怖さが軽減される2周目の方が撃ちまくる楽しさは味わえました。

でもトロフィーを獲得するのに3周必要なのに「新しいライド」をするとハイスコアがリセットされる仕様は良くないです。周回プレイでのスコアアタックは楽しみにくい。

気になったところ

旧世代クオリティ

率直な感想として旧世代クオリティだと思いました。
PS5+PSVR2のゲームではなく、PS4+PSVRのゲームが後方互換で多少強化されている程度の印象です。
まばたきの仕掛けがあったりしてPSVR2の機能も使っておりますけど、それは極一部です。本来はPSVRでリリースする予定だったのか、もしくは将来的にMeta Questマルチを計画しているのかと思うような、旧世代感は明確にあります。

粗いグラフィック

まずグラフィックは粗いです。
容量が35.47GBもあり、これはPSVR2専用ゲームとしてはかなり大きいです。高品質なアセットを使っているという期待を持ってプレイしましたが、期待外れでした。テクスチャは粗いですし、テクスチャの貼り遅れもありますし、ジャギも気になります。

ロード待ち

ステージプレイ中のロード待ちはありませんが、ステージクリア後にロード→ムービー→ロードという旧世代感のあるロード待ちがあります。PS5独占ゲームとは思えないような作りで、PS4ゲームを後方互換でプレイしている感覚でした。

軽い銃撃

『Until Dawn®: Rush of Blood』でもあった不満ですが、銃撃が軽いのが残念なところです。
メインとなる銃の銃撃がやや軽く感じ、敵の被弾リアクションも手応えを感じにくくて安っぽさがあります。
そこまで大きな不満ではなく2周目では慣れましたけど、銃撃がゲームの主軸ですから、もっと撃っていて気持ちいいものになれば大幅に変わると思います。

コントローラーの精度は良く、そこは『Until Dawn®: Rush of Blood』より強化された部分です。
Moveモーションコントローラーは横撃ちの精度が低かったですが、PS VR2 Senseコントローラーは問題ありませんから、そこを活用する意図を感じる横からの敵の出現も多かったです。
アダプティブトリガーも本物の銃のトリガーのように機能しており、PSVR2と銃撃の相性の良さを改めて感じます。指が疲れますけどね。
リロードが速くてストレスを感じにくいのも嬉しいところです。

日本語音声未対応と読みにくい字幕

『Until Dawn®: Rush of Blood』は日本語音声に対応していましたが、『The Dark Pictures: Switchback VR』は日本語音声に未対応です。

それだけでなく字幕位置が下すぎて、普通にプレイしていると読みにくいです。字幕ありでのテストプレイをやっていないんじゃないかという雑さを感じました。

デフォルト設定だと字幕が無効になっており、キャラクターのセリフは英語で読まれるだけです。字幕設定を有効にないとセリフの日本語字幕は表示されません。
『Mass Effect Legendary Edition』も同じ仕様だったのですが、洋ゲーの雑な対応に思えます。

まとめ

短くまとめれば、旧世代感はあるがホラーアトラクションとして面白い体験でした。

映像とロードに旧世代感があるのは大きめのガッカリでした。これがPSVR or Meta Questマルチであるなら何も感じなかったかもしれませんが、PSVR2独占ゲームであり、ローンチ以来の完全新作なので期待が大きかったですから、その落差でのガッカリ感がありました。
Supermassive GamesはVRゲーム開発の技術的な面での成長が感じられません。『Until Dawn®: Rush of Blood』の開発環境のままアップデートせずに『The Dark Pictures: Switchback VR』を開発したんじゃないかと思うような成長の感じられなさでした。『Until Dawn®: Rush of Blood』をPSVR2に移植すれば同じクオリティになるかと思います。
『Until Dawn®: Rush of Blood』の後継作品としても、日本語音声未対応であり、字幕も読みにくいというのは悪くなった部分としてあります。

PSVR2独占の新作として期待した部分と、『Until Dawn®: Rush of Blood』の後継作品として強化と洗練を期待した部分があり、期待の高さに対するガッカリ感はありましたが、『Until Dawn®: Rush of Blood』を踏襲したホラーアトラクションとしての体験は悪くなかったです。退屈させない細かい仕掛けが随所にあり、恐怖感の中で銃を撃ちまくるのは最高です。
ホラー+ガンシューティング+ジェットコースターというわかりやすい楽しさで、ド直球な「自宅でテーマパーク体験」という感じの贅沢さがあります。

5,280円という価格に対する満足度は低いと言わざるを得ません。VRゲームは低価格の良作が多く、5,280円はちょっとお高い部類に入りますから、クオリティ面での満足度が低いのはいただけないところです。
ステージのバリエーションや細かい仕掛けの多さなどは豪華さがあり、そこは価格なりのものを感じます。

2周目以降はガンシューティングゲームとして楽しんでおり、なんだかんだハマっておりますから、プラチナトロフィー獲得も目指したいです。

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