雰囲気は良いが面白さが見出しにくかった『The Last Worker』

レビュー・感想

『The Last Worker』の概要と感想。

『The Last Worker』とは

『The Last Worker』は、ますます自動化されていく世界での孤独な労働者の最後の抵抗を中心に渦巻く、没入型ストーリーアドベンチャー。世界最大の小売企業に勤めるカートは、資本主義か活動家かの選択を迫られています。

Chaptrクリア式のゲームです。大雑把に言えば、労働→ストーリーイベント→労働→ストーリーイベント…を繰り返してゲームが進行します。後半は労働があまりなくなってストーリーイベント重視になります。

基本操作

左スティックで移動と旋回。L3でブースト。
で上昇、×で下降。
R3で目的地追跡。

R1でガンを握り、R2で発射。
右スティックでつかんだ荷物の移動と回転。

労働

労働は荷物の出荷作業です。
まずR3で荷物の位置を確認。
荷物のある棚まで移動して、R1でガンを持ってR2で撃ってつかむ。
荷物のラベルを見て重さとサイズを確認、箱を見て破損状況を確認。
問題なければ出荷ポイントまで移動して出荷。
重さやサイズが違っていたり、破損していたら箱にラベルを撃ってリサイクルポイントまで運ぶ。

正確に出荷orリサイクルをして、タイムも速いと高評価が得られます。

ストーリーイベント

レース、ステルス、探索、パズルなど、ちょっとしたものです。

良かったところ

トゥーンレンダリングのグラフィック

『ボーダーランズ』っぽいトゥーンレンダリングのグラフィックは良いです。
シンプルな画ですから「すごいっ」という驚きはまったくないですが、シャープな線で見やすいです。
字幕の読みやすさも好印象。

雰囲気

「没入型ストーリーアドベンチャー」という事で、労働のスコアよりもストーリーを重視している印象です。

いきなり怪しい会社で労働するところから始まるわけですが、随所に違和感があり、その不気味さと謎に興味をそそられます。

腕の動き

ゲームの面白さにはあまり関係ないですが、このゲームは腕の動きの自然さがすごかったです。

VRゲームは手首より先しか表示されていないタイプが多いです。腕まで表示しているゲームだと、腕が伸びたり関節の曲がり方が不自然になります。
このゲームは腕までトラッキングしているのかと思うほど、腕の動きが自然で驚きました。

気になったところ

作業がつまらない

労働、レース、ステルス、ボス戦、パズルなど…各作業が面白くないです。ストーリーを進めるための単調な作業になってしまっています。
ストーリーの結末は気になるけど、進めるためのゲームプレイが面白くない。

微妙なわかりにくさ

どこをどうすればいいのか、微妙にわかりにくいところがあります。
もう少しガイドをわかりやすくしてほしかったです。

ゲームプレイの面白さに欠ける

オープニングがオシャレでセンス良くて、トゥーンレンダリングのグラフィックも悪くないし、雰囲気も良くて良ゲーの予感がしましたけど、ゲームプレイに関して面白いと感じられるところがあまりなかったです。小さなわかりにくさや、つまらないステルスでストレスも溜まりました。

開発チームに技術や映像面でのセンスはあると思うのですが、面白いゲームをデザインする力が致命的にないという印象でした。「この作業の何が面白いの?」と思ってしまうところが多かったです。
ミニゲームのアイデアは面白いけど、ミニゲーム自体はつまらない。

致命的な欠陥があるわけではなく、減点法だと減点ポイントも少ないゲームかもしれませんが、操作していて「面白い!」と感じられるポイントが少ないです。まとまりのあるストーリーアドベンチャーの体験としては悪くないですが。
非VRゲームでもそうですが、雰囲気重視で安直なステルスやパズルを入れてゲームっぽくした作品は多いです。そういうゲームがそれなりの評価を得ている事も珍しくないですし、『The Last Worker』が76~85点の評価でも驚きはありません。でも個人的にはもうステルスやパズルをとりあえず入れただけみたいなゲームには満足できないですね。そこにそれなりの質を求めます。

1周クリアまで約4時間でした。終盤はゲームプレイが苦痛なほどでしたが、結末が気になりましたので頑張ってプレイしたという感じです。

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