『ヴァルキリープロファイル −レナス−』が面白いけどPS5のエミュレーターシリーズには名称が必要だ

システム

『ヴァルキリープロファイル −レナス−』が誤解を受けている問題。PS5のエミュレーターシリーズには名称が必要だと感じた。

エミュレーターシリーズの理解がない

Twitterを見ていると誤解が多くて損している印象を受けた。「スマホ版のグラフィックにしてほしかった」「HD化してほしかった」「SteamやSwitchにも出してほしかった」「スキップ機能が欲しかった」などなど。こういう要望って各社がやっているリマスター版とかリメイク版とかに求められる要素なんだけど、『ヴァルキリープロファイル −レナス−』はそういうのじゃなくてPS5のエミュレーターで動かしているシリーズなんです。

PS Plus プレミアムにある『リッジレーサーズ2』や『勇者のくせになまいきだ:3D』らと同じ。基本的にはオリジナル版をエミュレーターに乗っけて動作させているシリーズであり、ゲームアーカイブス版に近い。原則的にはオリジナルのままの移植であって追加要素を求めるようなものではないんです。
他機種とのマルチタイトルではない理由もこれ。SIEのエミュレーターだから。

とは言え、誤解を受けやすい背景がめっちゃあるので仕方なし。

リマスター・リメイクが多いスクウェア・エニックス

まずスクウェア・エニックスは『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター』(5,830円)、『タクティクスオウガ リボーン』(5,480円)、『サガ フロンティア リマスター』(4,800円)、『クロノ・クロス:ラジカル・ドリーマーズ エディション』(3,520円)などなど、リマスター・リメイクシリーズを多数リリースしていますから、それらと同じ流れかと誤解されやすい。

『ヴァルキリープロファイル −レナス−』は2,750円ですから、価格を見れば他のスクウェア・エニックスのタイトルとは差がありますからそこまで手を加えていないなという想像はしやすいですが、エミュレーターシリーズの中で見れば、他は1,100円ですからスクウェア・エニックスのは高くて、価格なりの違いを求められるところもあるかもしれない。
せめて1,980円にしてほしかったとも思う。

優れたエミュレーター

ソフト自体はオリジナル版がベースでもエミュレーターが優れていて手を加えたリマスター版に見ちゃう。

ファミ通のツイートを見ても、


エミュレーターで動かしている事を知らない人が見たら、新要素が追加されたリマスター版に思えるでしょう。でもこれらの機能って全部SIEのエミュレーターの共通機能であり、スクウェア・エニックスが追加した機能ではない。

ちなみに巻き戻しとクイックセーブは最高に便利です。
武器が耐久度ではなく確率で壊れるのですが、巻き戻してやり直せる。落下して戻れなくなっても巻き戻せる。敵を攻撃して宝箱が出るまで巻き戻してやり直せる。ズルいけど公式の機能なので遠慮なく使っています。
昔のゲームはセーブポイントが制限されているものが多いですけど、クイックセーブ機能のおかげでいつでも中断できる。開始する時も起動してロゴが出た時点でクイックロードできる。

そしてPS5版はネイティブ1440pで動作するエミュレーターですから、リマスター版みたいなもの。

ドット画のアップレンダリングはあんま意味ないが…

ネイティブ1440pで動作するエミュレーターなのですが、ここも『ヴァルキリープロファイル −レナス−』なりの落とし穴がある。

12月20日にリリースされた『リッジレーサーズ2』はPSPのゲームとは思えないほど美しくなっていました。対して『ヴァルキリープロファイル −レナス−』は、かなり粗く見えます。でも手抜きをしたわけじゃなく、同じエミュレーターで動かしているだけ。

この大きな差の理由は、ポリゴンモデルやテクスチャはエミュレーターによる1440pアップレンダリングによって高精細に描画されます。でもドット絵は変わらない。
レース中の画面がポリゴンモデルとテクチャで構成される『リッジレーサーズ2』はキレイに見えるけど、ドット絵の『ヴァルキリープロファイル −レナス−』はオリジナル版と変わらないという差。
『リッジレーサーズ2』もドットで描かれてる文字などは、かなり粗いです。そういう部分はエミュレーターのアップレンダリングではキレイにならないのがよくわかる。

「ドット絵は変わらない」であっても、PSPの小さな画面では隠れていた粗が大画面では目立ちますので、オリジナル版よりも感覚としては粗く見える。これは仕方ない。あくまでオリジナル版を動かすやつだから。
でも感激したのが、エミュレーターにあるビジュアルプリセット機能。これを「デフォルト」から「レトロクラシック」に変更すると、色味が変化してブラウン管っぽい横線が入る。この効果がかなり凄くて、ドットに良い具合の滲みを与えて安っぽさが軽減されてレトロゲームらしい味わいになる。PSPはブラウン管で遊ぶゲーム機ではないけれど、ドット絵にブラウン管効果はめっちゃ効く。




『リッジレーサーズ2』のような高解像度化が目立つソフトとはレトロフィルターの相性は悪いが、ドット絵のゲームはホントに最高の相性。家庭用ゲーム機版の『ヴァルキリープロファイル −レナス−』として良い画になった。今までビジュアルプリセットは使わなかったけど「このための機能か!」と納得した。
『リッジレーサーズ2』のようなゲームはエミュレーターによる高解像度化を味わい、『ヴァルキリープロファイル −レナス−』はレトロクラシックのレトロ感を味わう。これは今後も意識したい。

ついでに言うと、私は文字だけ高解像度化したり、キャラやキャラ絵だけ高解像度化したりするリマスターは画面が馴染んでない感が好きではないので、ドット絵がメインのゲームはオリジナルのままの移植が良いと思っています。文字や絵を高解像度に置き換えたら中途半端になってレトロフィルターも死ぬ。

ちなみにムービーがキレイになったのはちょっと驚いた。PS2・PSP以前のゲームをPS3以降にリマスターするとムービーは基本的に超粗いので。

×決定対応

Twitterで×決定に対応していると知ったのが購入の大きな決め手でした。PS5本体のシステムと統一された決定ボタンで混乱することなく楽しめている。〇決定のままだと間違いなく購入してなかったですね。
「Configuration」から〇決定か×決定か選択可能。

『ワイルドアームズ』もオプションで×決定にできましたけど、これってオリジナルもそうだったのかな?それともPS5のエミュレーターに乗せるバージョン向けに追加されたのか。
『リッジレーサーズ2』も×でいけたし。
オリジナル版を知らないからわからないけど、PS5のエミュレーターシリーズにおいて共通で意識されていることのような気がしてきた。

ゲーム開始時のタイトルメニューから×決定にして、OPTIONSからビジュアルプリセットをレトロクラシックにすれば、良い感じで遊べる。

トロフィー対応

嬉しいのはトロフィー対応。
PS Plus プレミアムのクラシックゲーム(PS1/PS2/PSP)の追加ペースの遅さとトロフィーに対応しない事への不満もありましたので、『ヴァルキリープロファイル −レナス−』がプラチナトロフィーを含むトロフィーに対応したのは嬉しい。

倫理規定に合わせた修正

序盤の未成年が酒を飲むシーンで「それ、酒…。」というセリフが「それ…。」に修正されており、顔も赤ら顔から紫っぽく変わっていた。現在の倫理規定に合わせて修正されたとのこと。昔のゲームだからといって現在の倫理規定を無視できるわけではないという事情が見える。

『ゲームアーカイブス』のような名称を

で最初の話に戻って、誤解を受けやすい背景がめっちゃあるのでエミュレーターシリーズの理解がないという話。×決定対応、トロフィー対応、倫理規定に合わせた修正など手が加えられていますから、オリジナル版をエミュレーターでそのまま動かしているとも言えないので、普通のリマスター版のように思われやすい。
×決定とトロフィーは任意とは言え、このエミュレーターを利用するうえで共通して意識されるシステムでしょうし、倫理規定は無視できないのでやるしかないもの。絵を置き換えるとか、新システムを追加するものとは違う。今後もこのエミュレーターシリーズは同じ感じになると思うので、理解して誤解することがなければ無駄にガッカリすることもない。

私はエミュレーターシリーズだと知っていましたから、非常に満足しています。『ヴァルキリープロファイル −レナス−』は初プレイでしたけど、似たようなゲームが思い浮かばないようなシステムで面白く、エピソードの哀しさも好み。ゲーム自体が面白いので大きな満足感を得ている。バグもなく、ロード速度も快適というかロード待ちが存在しないゲームになっている。
私がPS Plus プレミアムのクラシックゲーム(PS1/PS2/PSP)に求めていた、エミュレーターによって強化されたレトロゲームを体験したいという部分が味わえている。エミュレーターシリーズだと知っていたからこそ、トロフィー対応や×決定対応など満点の対応を素直に喜べた。

という事でPS5のエミュレーターシリーズにも『ゲームアーカイブス』みたいに「こういうもの」として認知される名称が必要だと思った。認知されている『ゲームアーカイブス』のゲームになら、「スマホ版の絵にしてほしかった」という人はいないかと思う。それじゃPSPのゲームアーカイブスにならんじゃんと言われるだけ。

昨今はリマスター版が多いですから、PS5のエミュレーターシリーズは誤解を生みやすくガッカリされる無駄がある。
『ヴァルキリープロファイル −レナス−』に関しても、上記のように誤解されやすい要素がてんこ盛りですから、よっぽどゲームに詳しい人しかわかってなかったかもしれない。

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