2022年12月14日0時にPS5版『ウィッチャー3』がリリースされました。PS4版との違いなど。
ロード高速化
PS4版『ウィッチャー3』の最大の問題点がクソ長いロードでした。ファストトラベルで1分のロード待ちは普通、最長で2分かかるなどPS4のゲームの中でワーストクラスのロード待ちがあった。
ElAnalistaDeBitsがロード時間を比較しています。
- PS5: 4秒59
PS4 Pro: 42秒10
PS4: 45秒60 - PS5: 14秒16
PS4 Pro: 1分9秒93
PS4: 1分13秒20
PS4で1分10秒前後だったロードがPS5では14秒。近いエリアでのファストトラベルはほぼ瞬時。『ウィッチャー3』としては劇的なロード高速化がされています。
とは言え『サイバーパンク2077』もそうですが、CD PROJEKT REDのゲームはPS5の中ではロードは長めな印象。かなり重そうなので仕方なしか。
PS5はPCよりロードが速いのも普通です。
- PS5: 13秒26
PC: 13秒83
XSX: 16秒60
XSS: 16秒73 - PS5: 4秒53
PC: 6秒36
XSX: 6秒43
XSS: 6秒86
PS5のロードがPCよりも速いのはSSDの力ではなくて優れたストレージアーキテクチャのおかげです。
PCはPCI Express 5.0 x4のSSDで読取速度が10GB/sにも達しますが、それでゲームのロードが劇的に速くなるわけではない。
「SSDの速度がどんなに高速になったとしても、いまのゲームにおけるデータアーキテクチャには大きなボトルネックがある」
ティム・スウィーニー
「PS5のストレージアーキテクチャは、今買えるどんな高価なPCをもはるかに凌駕しています」
Epic Games: Unreal Engine 5 will bring a generational change to graphics | VentureBeat
アダプティブトリガー&ハプティックフィードバック
DualSenseの機能も活用されています。
特に騎乗時の感触は馬旅の臨場感を増す。
- 印を使用時にR2のアダプティブトリガー
- 回避とローリングの振動
- 騎乗時のパカラッパカラッの感触
地面によって感触が変わる - 歩行時の水溜りの感触
- ハシゴ使用時の感触
- 着地や水への飛び込みの振動
- 会話選択時のカチッという振動
会話スキップしている途中に選択肢が出ると振動でわかるのは便利 - 倉庫の開閉の感触
- 薬草採取時の振動
- 口笛の振動
- 水泳の振動
序盤のプレイだけでも細かく活用されている印象ですから、他にもいろいろあると思う。通常の振動とごっちゃになってわからない部分も多いですけど。
ちなみにPS4/PS5版はタッチパッドも活用されており、縦にスライドすると一発で地図を開ける。
グラフィックの改良
- レイトレース・グローバルイルミネーション、レイトレース・アンビエントオクルージョンを追加。
- ゲームのビジュアルや全般的なゲーム品質を向上させる、ModおよびMod関連コンテンツを追加。開発チーム製のModに加え、環境およびカットシーンの改良、リアルな舗装、各種装飾アップグレードなどに関するコミュニティ作成の人気Modも収録。
- ゲラルト、イェネファー、トリス、シリ、エレディンなどのキャラクターのテクスチャーを4Kにアップスケール。
- ゲラルトを含むすべてのメインキャラクターに高解像度のセルフシャドウを適用(カットシーン外も対応)。さらに髪と鎧のクリッピングや、その他の鎧に関するクリッピングを修正。
- 新たな天候タイプ「曇り空」を追加
空のテクスチャーをアップデート - 植物と水、各種メッシュ、一部の視覚効果を改良
- グローバル環境ライティングをアップデート
- AMD FidelityFX™ Super Resolution (FSR) 2.1を追加
先日『サイバーパンク2077』が超解像技術のFSR2.1(FidelityFX Super Resolution 2.1)に対応しましたけど、PS5版『ウィッチャー3』もFSR2.1に対応しています。
PS5でFSR2.1に対応しているタイトルは少ないですが、CD PROJEKT REDはいち早く対応していますね。
グラフィックの違いは上記したElAnalistaDeBitsの比較動画がわかりやすい。
一般的なPS4→PS5のアップグレードとは違い、大幅にグラフィックが強化されています。特に草木が別物になっていて、それが風景を劇的に変えている。PS4版は油絵っぽい抽象的な表現にも感じますが、PS5版はリアルで精細になっている。
Modの力を借りて再調整するなどして単なるアップグレードとは事情が違いますから、PS4→PS5のアップグレードタイトルの中では堂々の第1位と言える強化かもしれない。
フレームレート
- レイトレーシングモード:PlayStation 5およびXbox Series X版を対象に、レイトレース・グローバルイルミネーション、レイトレース・アンビエントオクルージョン、動的解像度スケーリングを目標30 FPSで利用可能。
- パフォーマンスモード:PlayStation 5およびXbox Series X版を対象に、ダイナミック解像度スケーリングを用いた目標60 FPSのスムーズなゲームプレイを実現。
PS5では一般的でもある仕様。レイトレーシングモードが30fps+レイトレーシング、パフォーマンスモードが60fps。
コンテンツとモード
- ヴェレンに新クエスト「〈永遠の炎〉の影で」を追加。Netflixシリーズ『ウィッチャー』にインスパイアされた報酬を入手可能。
- Netflixシリーズ『ウィッチャー』にインスパイアされたダンディリオンの別外見を追加。オプション→ゲームプレイから利用可能。
- Netflixシリーズ『ウィッチャー』にインスパイアされた新たなニルフガードの鎧セットを追加。オプション→ゲームプレイから利用可能。
- 中国語と韓国語の吹き替え音声を追加。地域によって家庭用ゲーム機版ではご利用いただけません。
- フォトモードを追加。『ウィッチャー3 ワイルドハント』の世界で美しい写真を撮影できます。
- カットシーン中にゲームをポーズできる機能を追加。
- 新たなカメラ視点を追加。カメラがプレイヤーキャラクターにより近づき、戦闘や動きにダイナミックに反応します。オプションの「ゲームプレイ」内から、探索中、戦闘中、乗馬中のカメラ距離をそれぞれ変更できます。
- Flash_in_the_flesh作成のMod「Full Combat Rebalance 3」を追加。これにはバランス変更およびゲームプレイに関するさまざまな修正が含まれます。このModに関しては監修を行い、デフォルト状態のModから一部要素にさらなる調整を加え、一部要素を除外しています。
ダンディリオンの別外見とニルフガードの鎧の変更はタイトルメニューのオプション→ゲームプレイからオン/オフの設定が可能。
操作と快適性向上
- 印のクイック発動オプションを追加。ホイールメニューを開かなくても印を切り替えて使用できるようになります。オプション→ゲームプレイで変更可能。
- 新しいデフォルトマップフィルターを追加。このフィルターでは「?」や船などの一部アイコンが非表示になり、多数のアイコンでマップが見にくくなる現象を防ぐことができます。非表示のアイコンはマップモードを「全て」に切り替えると再び表示されます。
- 落下ダメージ発生の最低高度を調整。これまでより高い位置からの落下を生き延びられるようになります。
- 薬草回収時、取得用のウィンドウを開かず、1回のインタラクションで回収できるようになりました。
- 戦闘中または「ウィッチャーの感覚」使用中以外は、ミニマップとクエスト目標を非表示にできるオプションを追加。オプション → ビデオ → HUD 設定→ ミニマップ非表示(探索中)、目標非表示(探索中)から設定可能。
- コントローラー用にゆっくり歩くオプションを追加。左スティックを前に少しだけ倒せばゆっくり歩くことが可能。
- コントローラー用に新しいダッシュ操作オプションを追加。左スティックの押し込みでダッシュが発動します。オプション → 操作設定内で変更可能。
- ターゲットロックがカメラ軸反転設定を無視するオプションを追加。オプション → 操作設定内から変更可能。
- 所持品を開かなくても爆薬、石弓の矢、ポケットアイテムを切り替えられるよう、ホイールメニューを改良。
- 字幕およびNPC会話、会話選択肢のフォントサイズ調節オプションを追加。オプション → ビデオ → HUD設定内から変更可能。
- その他さまざまな修正、調整、快適性向上のための変更、そして隠し要素をいくつか追加。
他のゲームと比較して「この段差で死ぬの?」と思う場面も多かった『ウィッチャー3』ですが、落下ダメージが調整されたのは嬉しいですね。落下ダメージはリアルにしても面白くないです。
L3ダッシュに対応したのも嬉しい。×ダッシュだとダッシュしようと思ったのに話しかけちゃったり、ダッシュしながら右スティックでの視点変更がやりにくい。
セーブデータ引き継ぎとトロフィー
PS5版のロンチ時点ではセーブデータ引き継ぎには未対応。準備中のPS4版のアップデートが配信されれば、PS4版からクラウドにセーブデータをアップロードしてPS5版でダウンロードして使用可能になる予定。
ウィッチャー3のPS4⇒PS5へのセーブデータ移行についてご説明します。PS4版に最新パッチが配信されると、クラウドにセーブをアップロードする機能が追加されます。PS4版へのパッチ配信は現在準備中となりますので、セーブデータ移行をご希望の方は恐れ入りますが配信をお待ちください。
— CD PROJEKT RED Japan (@CDPRJP) December 13, 2022
【追記:2022.12.19】セーブデータの引き継ぎに対応しましたが、GOG.comへの登録が必要です。
PS4版『ウィッチャー3』を起動して、タイトルメニューから「ロード」を選択。
セーブデータ選択画面でL2ボタン(クロスプログレッション)を押すと、スマホを使ってGOG.comへ登録するためのQRコードが表示されますから、スマホのカメラを使って登録へ。「今すぐ登録」からユーザーID、メールアドレス、パスワードを入力すると登録可能。
登録に成功するとPS4版『ウィッチャー3』の画面が変化して登録が確認できます。
PS4でゲームをロードしてから手動セーブしようとするとクラウドのアイコンが表示されていましたので、そこに手動セーブ。
PS5版の『ウィッチャー3』も同じ手順でGOG.comへログイン。するとロード画面にPS4版でセーブしたデータがありました。
セーブデータ引き継ぎができませんから、トロフィーの引き継ぎに関しては不明。
まず大前提として、ほぼ全てのゲームにおいてPS4版とPS5版はトロフィーが別扱いです。
PS3/VITA/PS4だと同じゲームの場合はトロフィーが共通のケースもありましたが、PS4とPS5はほぼ全てのゲームにおいて別扱い。極一部のオンライン専用ゲームは共通のケースがあるかもしれない。
当然ながら『ウィッチャー3』もPS5版のトロフィーは未獲得状態となる。
PS4版のセーブデータを引き継いだ時、トロフィーまで引き継ぐかどうか関してはゲーム毎に仕様が違って3パターンあります。
-
- 引き継ぎで全てのトロフィーが獲得できる
- 引き継ぎで一部のトロフィーが獲得できる
- 引き継ぎでトロフィーが獲得できない
『サイバーパンク2077』は「3.引き継ぎでトロフィーが獲得できない」でしたが、『ウィッチャー3』はどうなるか?
【追記:2022.12.17】セーブデータ引き継ぎではトロフィーは引き継がないと公式発表がありました。
残念ながら、新世代機版はSKUが異なるため、PlayStationの後方互換機能で入手したトロフィーは移行されません。獲得するには、再度各トロフィーの条件を満たす必要があります。サポートページでも同様のご案内をしております。https://t.co/0u8tebn8lH
— CD PROJEKT RED Japan (@CDPRJP) December 17, 2022
『ウィッチャー3』にはニューゲーム+がありますから、セーブデータを引き継いで最初からプレイしてトロフィーを獲得できるのは嬉しくもある。
PS5版へのアップグレードの方法
PS4版『ウィッチャー3』は100円でPS5版にアップグレードできます。
PS5のPSストアは酷い作りだと知られていますが、アップグレード方法がわかりにくいのは大きな問題。最近出荷が増えて新規で購入した方も多いでしょうから『ウィッチャー3』でアップグレードのわかりにくさを初体験した人も多いかと思う。
PSストアの検索欄で『ウィッチャー』と検索すると下に『ウィッチャー3 ワイルドハント』もしくは『ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション』が表示される。
『ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション』しか出なくても、これの商品ページを開いて「…」からPS5版『ウィッチャー3 ワイルドハント』に切り替えられる。体験版もそうですが「…」から切り替えるわかりにくい仕様が初めての人には気付かれずに無駄に探し回ることになる。改めて酷い作りだと思う。
PS4版の『ウィッチャー3」(無印版)』をお持ちのお客様で、100円購入ボタンが表示されない場合、『ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション』のページにて「…」を押すと表示される『ウィッチャー3 ワイルドハント』ページをご確認ください。 pic.twitter.com/SoJH6H1nQW
— CD PROJEKT RED Japan (@CDPRJP) December 14, 2022
DLC『無情なる心』と『血塗られた美酒』は各22円。PS5版のDLCは導入の仕方が特殊で、PS5版『ウィッチャー3』を起動して、ゲーム内メインメニューの「拡張を購入」から購入する。ゲーム外のPlayStation Storeからは購入できない。
特殊な仕様ですが不具合があり、PS4版でDLCを購入していた人でも22円ではなく924円で販売されてしまう場合があり、私もそうでした。【追記:2022.12.16】不具合が改善され、22円で購入できるようになりました。
ウィッチャー3(無印版)をPS4からPS5にアップグレードしたケースで、ゲーム内ストアから値引き版の「無情なる心」と「血塗られた美酒」をご購入頂けない現象を複数ご報告頂いております。現在調査中となりますので、恐れ入りますが続報をお待ちください。
— CD PROJEKT RED Japan (@CDPRJP) December 13, 2022
クオリティは良いが残念な準備不足
数あるPS4→PS5へのアップグレードの中でもトップクラスのクオリティでした。今までのPS4→PS5のアップグレードタイトルとはレベルが違うグラフィックの強化。アダプティブトリガーとハプティックフィードバック、高速ロードにも対応してPS5版らしい魅力がある。一応、PS5独自のアクティビティカードとゲームヘルプにも対応しているが、これらの機能は魅力を見出しにくい。
『ウィッチャー3』の発売日は2015年5月18日、なんともう7年半前のゲームになっていました。PS5版のリリースまでに時間がかかっただけあり、満足できるクオリティに仕上がっていて良かった。
残念なのはロンチ時点でセーブデータの引き継ぎに未対応な事とDLCが22円で購入できない不具合。
PC版は最適化不足で問題を抱えているようです。『スターオーシャン 6』『The Callisto Protocol』『ウィッチャー3』、ここ最近それなりの話題作でPC版の最適化不足が問題になっており、こういう部分においてもPS5の統一された環境は良いです。家庭用ゲーム機の強みですし、Xbox Series X|Sと比較しても低性能バージョンを出さなかったのは正解かと思う。性能が追いつかないと『サイバーパンク2077』のPS4版のような無理も出てくる。
bug_report_thread | Reddit
新世代機向けアップデートの配信開始以降、PC版について報告されている諸問題を認識しています。現在、すべてのご報告を調査しており、特定の問題についてはできるだけ早く最新情報をお知らせする予定です。恐れ入りますが、続報をお待ちください。 https://t.co/ij6mFUcfuz
— CD PROJEKT RED Japan (@CDPRJP) December 14, 2022
CD PROJEKT REDは『サイバーパンク2077』を未完成のような状態でリリースして大失敗して信用を失いましたから、今回はビシッとしてほしかったところ。
とは言え、今はフリープレイの『Mass Effect Legendary Edition』をプレイ中なので、セーブデータ引き継ぎのできない『ウィッチャー3』は気兼ねなく後回しにできる。もし『ウィッチャー3』を楽しみに待っていたら、かなり大きめのガッカリだったと思う。DLCも含めて膨大なボリュームのある『ウィッチャー3』でセーブデータ引き継ぎなしは悲しい。
『ウィッチャー3』のアップグレードのクオリティが素晴らしかったから『Mass Effect Legendary Edition』もPS5版にアップグレードしてほしかったなぁとも思っちゃいますけどね。
なんにせよ「神ゲー」と呼ばれるにふさわしい傑作がPS5で洗練されて素晴らしい。
最近再プレイした『The Elder Scrolls V: Skyrim』や『Mass Effect Legendary Edition』は古さを感じるところもあって今から新規プレイする人には難しいかもしれませんが、『ウィッチャー3』は古さは感じないですから未プレイの人が羨ましいほど。
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